2013年8月16日金曜日

NHK 地球ドラマチック「ブラジルに出現 謎のカメ~ウミガメ保護の最前線~」を見て

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以前書きかけてほっぽらかしてたものがあったので、仕上げて更新しました。
時期逃したらイカンよなぁとおもいつつ
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 NHKの地球ドラマチック、いつも次男と見てます。
特に恐竜の時は、次男の食いつきがいい。ま、今シーズンの戦隊ものもあれですし

 で、この前の放送は、
「ブラジルに出現 謎のカメ~ウミガメ保護の最前線~」
http://www4.nhk.or.jp/dramatic/x/2013-05-25/31/18277/

 ウミガメの仲間って絶滅の危機に瀕してて、いろいろな保護活動が展開されているそうだ。で、今回は、その保護活動が展開されているブラジルで謎のカメが多く見つかるようになったと。

 ぶっちゃけると、この「謎のカメ」は雑種で、親の種(番組では原種と表現)と生息域や餌を取り合ったり、交雑していわゆる遺伝子汚染を進めたりして、親の種の存続を危うくしているというお話。

 元ネタらしき研究論文は以下のページで解説してあって、とても助かった。なかなか、おもしろかった。
ハイアイアイ臨海実験所 [論文]ウミガメの雑種
http://hiiaymbl.seesaa.net/article/292004993.html

 話の一つひとつは別に良いんですよ、見たあとウミガメ守らんといかんね、な気持ちになるし。でも、な〜んかさ、焦点ぼやけてる感じがあるわけですよ。

 どこが?っていうと、ちょっと困るんだけど、表題に「謎のカメ」と銘打っておきながら、「謎のカメ」すなわち「雑種」がなぜ現れたのか、どういう問題があるのか、といった「謎」がはっきり示せていないよう感じられたんですよね。

 なんでも、一時期ウミガメの類いがとても減少して、交尾する相手を見つけるのも困難な状態になった。そのとき、雄は同種、異種関係なく雌と見れば交尾して、結果雑種ができた、ということらしい。その雑種が、親の種とさらに交雑している。これが繰り返されると、純粋な親の種が無くなってしまう、と解説していた。また、そのウミガメ類の減少が、環境汚染や海岸の開発、漁業などの影響によるものとも。

 まず、端緒となるウミガメ類の減少が人間活動の影響によるものだ、ということが一度見ただけでは分からなかった。保護活動のアピールの1コーナーと思って見てた。ま、これは私の集中力が足りなかっただけかもしれん。

 いくらオスが見境なく交尾したとはいえ、そんなに簡単に雑種ができるなんて、とも感じた。これって、たぶんウミガメ類の種の間の隔離が、生態的なもの、すなわち生活様式とか繁殖行動の違いによって作られている部分が多く、交尾後の受精や発生の段階での種ごとの違いはあまりはっきりしてきてないってことなんだと思う。しかし、雑種がある程度簡単にできてしまうという現象は、多くの人にとって「混ざってしまうのも自然の摂理では?」と思わせる原因となってしまうみたい。実際、twitterのぞいたら、「別にいいんじゃない?」という意見もちらほら見えた。つまり、雑種ができることがなぜ悪いのか、ある種が他の種と交わらず続いていくことがなぜ必要なのか、と言う部分の解説が希薄だったという気がする。

 番組のサブタイトルに「ウミガメ保護の最前線」とあるが、最近の保護活動は「単に増やせば良い、絶滅しなければ良い」というようなものではなくなってきている。生物多様性の概念が浸透し、生物多様性の3つのカテゴリ「生態系の多様性」、「種の多様性」、「遺伝的多様性」を考慮して、その生物多様性を健全に保つために保護活動が行われる。
 たとえば、ホタルの保護活動が「とにかくどっかから持ってきて放せ」というスタイルから、ホタルの餌と繁殖場所が確保されるように生息環境を保全し、放流する場所に昔からいるホタルを増殖して放すように変わってきていることなどである。

 ウミガメ類が激減するような環境の変化は、海や砂浜といった自然環境が壊されているということであろう。雑種ができるということはある種のもつ遺伝的多様性が他の種の遺伝子の混入で壊されるということ、親の種がなくなるとは、種の多様性が失われることといえる。
 「そういったさまざまなことを勘案してウミガメ保護が行われています。それが最前線の状況です。卵を保護し、孵った仔ガメを海に放すだけでは本当の意味でのウミガメ保護にはなりませんよ。」そんなことを、この番組は伝えたかったのではないか。ウミガメの雑種がこれまでの保護活動に生じさせた波紋を切り口に、保護活動の在り方、難しさを伝えたかったのではないか。そんなメッセージをもっと前面に出してもよかったのではなかろうか。

 ま、つまり、ちょっともったいないな、と思ったわけです。