2014年9月27日土曜日

豊田ホタルの里ミュージアム(下関市)へ行ってきました。

山口県下関市にある豊田ホタルの里ミュージアムへ行ってきた。

 仕事といえば仕事、プライベートといえばプライベート。職場の今後の事業の参考にするため「視察に行こうぞ」となったのだが、「そんな予算はない」と言われたことから、有志四人で行った。
豊田ホタルの里ミュージアムはホタルの体形を模した建物のようだ。

 建物はどうやらホタルの形をイメージしてある様子。入口はおそらく尻、もといホタルの光る部分。そこから入ると目に入るのは岩石お持ち帰りコーナー。
岩石お持ち帰りコーナー
豊田や下関市の地質を形成する主要な岩石を自由に持ち帰れるようになっている。岩石についての説明書きがあり、砕いた岩石がおいてある。脇にはトングとビニール袋、標本ラベルも添えてある。石が好きだったり何でも集めてしまう子どもは喜びそうだ。

 自動ドアを通り抜けるとエントランスホール。ここはいろんな自然物を調べられる学習コーナー。図や写真だけでなく、実物の標本や標本を加工したもので構成されている。
学習コーナーの一角。実物植物図鑑。
内容は、昆虫を中心とした動物、岩石や化石が多かった。写真や解説はもちろん、ちいさなものには貼付け式のレンズが貼ってあるなど、解説のための工夫がものすごく多い。検索表という生き物の特徴から種類を調べる表にも、標本が多用してあり分かりやすい。
 実はこのコーナーは受付の手前、すなわち無料。すごい手間ひまかかってるものだけどなぁ。すごい。

 受付を通り抜けると展示室への道。ホタルがとぶ夜道のイメージでしょうか。

ここをぬけると・・・

ホタルの住む世界。
ホタルの住む世界に迷い込みます。ホタルになった気分で探検できる。ホタルが生息する環境を、とっても大きくして、リアルに再現している。小学一年生くらいとホタルの幼虫が大体同じ身長になるようだ。ホタルの敵と考えられる大きなアリの模型があり、クモにいたっては襲われる!!(上からおりてきます)。
ホタルの敵

展示室
ホタルの住む世界をよく観察した後は、展示室でホタルの勉強。ホタルの分類や体の作り、生態、生活史そして文学、癒しなど、様々な視点からホタルを紹介しています。ここは正直凄まじい。
工夫一杯の展示パネル。
展示物の見せ方やパネルにもいろいろな工夫がある。もちろん内容はこれ以上ないくらい濃い。

 ホタルが生息する環境を学ぶコーナーもある。環境の保全についても。
ホタルの生息する環境を学び守る
水の生き物のコーナー
このコーナーは主に生体展示になっている。大きな水槽でホタルの生息環境を間近で観れるように再現したり、そんな環境に生息する動物(魚や昆虫)を個別飼育している。環境全体や環境を構成する地質や生物を生で観察できるようにしている。

 
ネイチャーラボ
展示室の横には、ネイチャー・ラボと称して標本が並んだ部屋があった。エントランスの学習コーナーとややかぶっている感じもする、エントランスは自分が興味を持ったことを調べるコーナーであるのに対し、こちらは「ラボ」の名の通り、いろいろ調べる「研究室」を再現しているようだ。生き物や石達にどんな違いがあるのか、よく見比べてみよう、こうして比べると良いよ、という研究の着目点を示しているように感じた。

 夏休み期間ということで特別展があっていた。
ひとつは世界のカブトムシ、クワガタムシ。
世界のカブトムシとクワガタムシ
愛好家の方に飼育個体をお借りして展示してあったが、ただ飼育されているカブクワをおいて名前を示しているだけではなく、日本産カブトムシについての分類や飼育方法など様々な解説がパネルで示され、カブトムシの体の作りを示す大きな模型があり、標本をうまく加工した触れるコーナーも作ってあった。

もう一つは「螢の脳と蟲の脳」。節足動物の神経系をテーマにした展示があっていた。
特別展「螢の脳と蟲の脳」
節足動物の神経系を、CT画像、3Dプリンタ、神経標本で見せる展示で、大学からの協力を得て開催されていた。下は、いろんな昆虫の標本と神経の標本(瓶の中)
昆虫の神経

 実は後一つ、特別展があっていた。ゾウムシとハチの標本および電子顕微鏡写真を展示していた(カメラが電池切れになり、写真なし)

 
 

 お腹いっぱいです。疲れました。充実した学習コーナー、内容の濃い常設展、3つの特別展、その他さまざまな教育普及事業を展開させているこの「豊田ホタルの里ミュージアム」。ここを支える職員さんのうち、学芸員はたった一人だそうです。つまり、これらの学芸業務を一人で切り盛りしているらしい。残念ながらこの日はアポイントなしで行ったので、お会いできませんでしたが・・・
 ただただ、すごいとしか言いようがない博物館だった。
 

2014年9月24日水曜日

熊本県立装飾古墳館「勾玉が語る」を見てきました。

熊本県立装飾古墳館の秋期企画展「古代のアクセサリー展 勾玉が語る」を見てきました。

チラシ

 勾玉ってなんか良いじゃないですか。そんだけの理由です。

展示風景
第二展示室と呼ばれる四角い部屋に、何とも上品に飾ってあります。実際の出土品から、装飾古墳館の教育普及事業で行われる勾玉作りの作品まで、色とりどりです。

 玉(たま)と呼ばれる当時の装飾品の、形による分類、作り方、歴史などがパネルで展示してあり、こじんまりとしていながらも、よくまとまっていて、分かりやすい展示でした。

玉の材料の展示
玉の材料の展示もしてありました。原石というのはやはり美しい。その中には・・・

松橋収蔵庫蔵、琥珀。
熊本県松橋収蔵庫からお貸しした品もございます。

 関連行事として勾玉作りもありました。小1と3歳の息子達は最初は興味無さげでしたが、展示を見た後はやる気満々で作っていました。

勾玉作りに挑戦。
柔らかい滑石をサンドペーパーで削って作るものです。体験は常時受付で、入口の受付でお願いすると、材料費の支払いをすませると、すぐにさせてくれました。

 材料は、白、ピンク、黒マーブルがあり、勾玉一つが削り出せる四角くカットした石材が用意してありました。また、白については小さな子ども向けに大まかにカットしてある材料でした。この他、大玉、管玉も作ることができるようです。
 材料は、石材、目の違うサンドペーパー4種、作成後ペンダントにするための紐1本がセットになっています。

 部屋に行くと学芸員さんが待っていて、作り方を教えてくれます。いっぺんに話してしまうのではなく、震度に合わせて説明してくれました。このときは2回かお出ししてくれました。まあ、学芸員さんもいろんな業務があるので、子ども一人に付き添っとくわけにもいかんですしね。

 子供たちは、二人ともカットした白い石材を使いました。時間は1時間程度でしょうか。小1の次男は最後まで自分でやりました。3歳の三男はすぐ飽きました・・・

 装飾古墳館には、増設展示として県内の装飾古墳や石棺のレプリカがあります。よくできていて、実際にそこにいるような気がしてきます。
装飾古墳のレプリカ

石棺


 帰りはちょっと寄り道。無計画ででてしまってたので、足湯にでもつかろうかと、山鹿市の湯の端公園を目指しました。駐車場はないのですが、斜め向かいの温泉プラザの駐車場が一時間は無料ということを観光協会からうかがって、利用させてもらいました。



足湯につかる足
ま、あの好みもあるのでしょうが、私的にはめっちゃぬるいというか、温すぎ。うーむ。子供たちは水遊び始めようとするし・・・

 その後は、近くにあったお菓子屋さんで。燈籠最中のお店だったらしく、お客がひっきりなしに出入りしていた。レモンケーキを買った(なぜ?)。おいしかったですよ。
 
燈籠最中のお店
子供たちは、あまり走り回ることがなかったので、ちょっと不完全燃焼だったかなぁ・・・



2014年7月29日火曜日

森林総合研究所九州支所 森の展示館へ行ってきた

 先日、所用あり森林総合研究所九州支所に行ってきた。ついでに敷地内の「森の展示館」を見学してきた。
 写真の掲載などを聞いたら、「撮影した写真の著作権は撮影者にあるが、被写体については森林総合研究所の物なので明記を」とのことでしたので、断り書き。こんな感じでいいのかな?
 本記事の写真は、森林総合研究所九州支所森の展示館にて撮影された物です。被写体や被写体に書かれている調査研究内容の権利等は森林総合研究所に帰属します。また、写真の著作権は、撮影者であるブログ主に帰属します。

森の展示館入口付近。樹木園がある。
森の展示館の入口付近。樹木園、木の看板あり。樹木園では、木ごとにクイズ形式の名前札がある。
樹木園の中。普通の名前札の他、クイズ形式の名前札もあります。
2つ目の看板
ちょっと進むと2つ目の看板。こちらはちょっとポップな感じ。

  • 開館日は毎週水〜日曜日と祝祭日。
  • 開館時間は9時30分から16時30まで。

入口。あ、自分がうつってる。
入口はこちら。係員さんが一人おられて、入館すると館内の電気をつけてくれました。経費削減&省エネですか。
屋久杉の輪切り。どっかの施設にこの続きがあるらしい。
館内に入ると屋久杉がお出迎え。なんで熊本で〜?と思ったけど「九州支所」だからね。 

キノコレプリカのショーケース
まず目を引いたのがキノコレプリカのショーケース。これはなかなか本物っぽい。
キヌガサダケのレプリカ。すごい。
そのレプリカのケースの隣には、キノコの標本がたくさん入ったケースがあった。標本数はかなりの物。
キノコの凍結乾燥標本のケースといろいろな解説パネル
凍結乾燥法によるキノコ標本。
キノコの標本は、凍結乾燥法による物だそうだ。キノコの資料が充実しているのは、以前九州支所の職員で、キノコの研究を専門にしている方がいらしたためらしい。

 ケースの上の壁にはいろいろなパネルがかけられていた。キノコに関する物やその他の研究成果の解説が主な内容。かなり分かりやすく書いてある。

工作コーナー
子供たちが工作できるようなコーナーもありました。木の実などでいろいろ作れるようにしてあります。

 
重い木から軽い木までの材の標本
次はいろいろな樹木から得られた材(木材)のコーナー。ここではとても重い木ととても軽い木が集められていた。触れるので、持ち上げて実感できる。

いろんな樹木の材
他の樹木の材標本もあり。重さや質感が違い、触っているだけでなかなかに楽しい。
 
研究に関するパネル
研究に関するパネルも多い。結構分かりやすい。

 この施設、おそらく森林総合研究所の事業内容などを広く知らしめることが一つの目的だろう。しかし、「こんな研究してます」ってだけではなく、子どもを対象にした物があったり、森林についての基本的な解説があったりして、森林への理解や親しみが自然と研究の理解へと繋がるよう工夫されているようだ。 

 



2014年4月27日日曜日

熊本市立城南図書館へ行ってきた

前回の熊本市塚原歴史民俗資料館のついでに、熊本市立城南図書館へ行ってきた。
城南町が熊本市に合併されたあと新設された図書館です。新しいってどんな感じかな?ということで。

熊本市立城南図書館
http://jonan-library.com/
一つの建物の中に、熊本市城南児童館と併設されている。写真の撮影はいいか?と聞いたところ「ダメ!」だったが、パンフレットやホームページの画像は使っていいということだった。

 まずパンフレット。三つ折りのものを拡げて
反対側

 とにかく新しいだけあって、綺麗だね。あと天井が高く、上の方に窓があるので明るい久手雰囲気もいい。

 入口から入ると、左手に書架が二列に並ぶ。そして入口に近い方から、幼児用、児童用、と本が並び、奥が一般(大人)用となっている。パンフの写真からは見にくいので、ホームページから少し加工して流用。

熊本市立城南図書館の内部。書架が整然と並ぶ。(ホームページの画像に書架の高さに関する記述を加えた)
写真の左手が入口側。
 一番左は幼児用の書架。下に二段(黄色のライン)。上は平置き用というのか、表紙を見せて置く場所で、この部分の高さまで入れると児童用の書架と同じ(緑のライン)。また、別室のお話コーナーもあり、子どもへの読み聞かせも気兼ねなく行えるのではないかな?
 少し奥に行くと児童用の四段ほどの書架(緑のライン)。この付近には、写真でも分かるように子供用の机と椅子が設けてある。
 奥は普通の大人用書架(赤のライン)。

 大抵の図書館でも、このような区分けはしてあるのだが、この城南図書館は配置がシンプルで使いやすそうな印象だった。やはり、設計段階からキチンと考えられていたんだろうな、と推測。
 訪れた時間が平日の昼間ということもあるだろうが、小さな子どもを連れたお母さんが多かったように思う。
 あと、新設だからか、ホントに本が綺麗(新しい)。これはうれしい。

 さて、この熊本市立城南図書館、指定管理者制度によって運営されている。指定管理者は「城南図書館管理運営共同企業体」。適当にネットで検索してみると「(株)パブリックビジネスジャパン」というところが請け負っているようだ。実績紹介をみると熊本の施設がいろいろ出てくる。なんで名前が違うのよ?とは思うけど、「共同企業体」なので一社で指定管理者になっているのではないということか?

 なんで指定管理者を気にしてるかというと、要はお隣の県のある市の件があったり(佐賀県武雄市の問題について)、身近に指定管理者制度の話が出て来たりしたから。隣県については、最近さらに香ばしい問題?も露呈したようで・・・(武雄市図書館が開館前にDVDを大量除籍 「館内併設のTSUTAYAに配慮?」との疑問の声に武雄市は否定)。

 決して、この城南図書館がどうとかではなく、うまくいってるのなら、何故うまくいってるのか知りたい、と。

2014年4月25日金曜日

熊本市塚原歴史民俗資料館へ行ってきた

 先日、春休み中の息子(高校一年)を連れて熊本市塚原歴史民俗資料館へ行ってきた。

熊本市塚原歴史民俗資料館
http://webkoukai-server.kumamoto-kmm.ed.jp/web/tsukawara/index.htm

 もとは城南町歴史民俗資料館だったが、平成の大合併で城南町が熊本市と合併したことに伴い、熊本市塚原歴史民俗資料館へと名前が変わったそうだ。ちなみに「塚原」は「つかわら」と呼ぶらしい。パソコンで変換できん・・


 敷地の入口には、高床式倉庫や竪穴式住居の復元がある。
いつも思うんだけど、発掘されるのは建物の基礎だろうから、上の部分はどのように復元してるのかな?と。

 建物の中に入り、入館料を払って、施設の説明を受ける。一階に民俗展示室と歴史展示室、二階に考古展示室があるとのこと。

民俗展示室。狭いところにぎっしりと。
民俗展示室は一階の一角。狭い。様々なものがところ狭しとおかれている。ストーリー性はあんまりないかな?

歴史展示室入口
一階のもう一部屋は歴史展示室。やはり狭い。中世、近世、近代を扱う。瓦製の狛犬とかあった。

歴史展示室の一角

 二階に上がり、考古展示室。この博物館自体が塚原古墳群の中にあることもあり、この施設の展示のメインは、考古展示室。一番広い。

考古展示室入口
入口を通ると、大きな石棺や様々な土器が展示されている。この部分ではあまりキャプションなどはなく、考古学への誘い、といった感じ。めっちゃ大きな須恵器大器もあった。

入口付近の土器展示。雰囲気よく。
展示室全体をパノラマで撮ってみた。こんな感じ。

 入口付近から見たらこんな感じ。
考古展示室。明るく、見やすい。この明るさは見る側としては好き。

 展示は、旧石器時代から始まる。展示に使われている城南町周辺の旧石器時代の出土物は、かの有名な旧石器捏造事件(リンクはwikipediaにとびます)の後に発掘されたもの。事件後、多くの発見や説が疑われ、日本の旧石器時代がどのようなものだか分からなくなったころに発掘が行われ、旧石器時代研究の再出発のような位置づけになっているそうだ。

いろんな石器
土器もたくさんある。縄文土器といえば、その名のごとく縄目の文様を想像するが、この周辺ではそのような土器は少ないようだ。(縄目文様の土器や火炎式土器は、大体が日本のもっと北の方で出土しているものだ、と聞いた覚えがある)そんな、熊本周辺の文化ともいえるような特徴ある土器がいくつもあるのは興味深かった。
土器の底に残るクジラの脊椎版のあと、だそうな。
気になったのは上の写真。土器の裏にクジラの脊椎板の跡がついているそうだ。すとランディングしたクジラから得た大きな背骨を台座にして土器を作ったようだ。
 
土器のディスプレイ。もー少し解説が欲しいかな?雰囲気はいいんだけど
上の写真は土器の展示。すっごい雰囲気いいんだけど、土器の名称しか書いてなくて説明がない。他のところで土器の説明がないか、展示室を探しまわってしまった。

(感想)
 正直、歴史とかはあまり興味なかったんだけど、楽しめた。子どもの頃、狩猟採集の時代が好きで、いろいろ本を読んだり、調べモノしてたことを思い出して、かなり楽しかった。
 考古の展示室は、什器も凝っていて見やすく、雰囲気よかった。一方で、考古のことをほとんど知らない立場からは、説明が少なく、不親切と感じることも。でも、個人の好みかなぁ。逆に自分が展示に携わると、説明が多くてうるさい印象のもの作りがち、ということかもしれない。