2014年2月9日日曜日

韓国蔚山広域市との環境国際交流(2日目)

韓国蔚山広域市との環境国際交流2日目

二日目

朝から市役所へ。展望台で蔚山広域市の説明を受ける。が、あいにく天気が悪い。朝から雪振ってるし。イマイチけぶってて遠くまでは見渡せない。
蔚山広域市市役所展望台からの眺め。
そのあとは、今回の訪問のメインイベント、蔚山広域市で活動する環境市民団体との交流会。まあ、蔚山広域市の職員が司会を務めて意見交換会みたいな。写真は撮ってないや。

蔚山広域市側の市民団体は

  • 太和江保存会
  • 蔚山広域市太和江生態解説師会
  • 蔚山川を生かすネットワーク
  • 緑エネルギー促進市民フォーラム
  • 韓国ロードキル予防協議会
  • プルン蔚山21環境委員会


内容は、
蔚山広域市のPRビデオ鑑賞、各団体(熊本市、蔚山広域市双方)の活動紹介、団体間の質疑応答、まとめ、記念撮影
くらい

質疑応答ででてきたもの
(熊本側--->蔚山)
Q1.資金はどうしてるの? A1.ほとんどの団体は入会者の会費。団体(企業など)の会費も設定されている。韓国ロードキル予防協会の場合、企業(現代自動車)の出資が80%を占めている。あと数年をかけて、個人会員を増やしていく計画。プルン蔚山21環境委員会は全額地方、および中央政府の出資。

Q2.市の主導の環境政策は押し付けにならないか? A2.ならない。市民団体の代表が意見を取りまとめ、市と話し合う。その結果はきちんと各団体に伝えられる。

このA2.の市民団体の代表が「プルン蔚山21環境委員会」。これは国連環境開発会議のアジェンダ21の採択と勧告に基づき設置された官民協力機構で、ここが中心となって各市民団体のとりまとめを行っている様子。力や信頼があるのだろう。


 個人的に気になったことはあるが、ちょっと今回の訪問とは主旨がずれるので交流会の場では質問しなかった(また、時間もなかった)。
 その気になったこととは、韓国ロードキル予防協議会の活動。急激な発展を遂げた蔚山広域市では、野生動物のロードキルが多発しているらしい。
 韓国ロードキル予防協議会は、・ロードキルの調査、予防、教育、広報、政策活動・野生動植物の保護活動・自然生態環境の調査及び保護活動、を目的に2013年に設立されたばかりの新しい団体で、先述のとおり活動資金の8割は現代自動車が出資している。
 活動内容は以下のようなもの。気になったところを太字にした。

  • 生態通路の確保および道路条件の改善など、ロードキル予防のための政策提案をするための現状把握を目的とした、全国主要道路のロードキルデータベースの構築
  • 野生動物保護活動:救助活動、極寒期の餌やり活動、密猟監視活動、野生動物の餌を守るためのドングリ守りキャンペーン
  • ドライバーへの教育およびキャンペーン

1.ロードキルデータベースの構築
 ロードキルデータベースを作るということは、おそらく誰かがロードキル個体の確認をするはず。ならば、そのロードキル個体は回収し、状態によって剥製やDNA分析用の資料として博物館に収めてはどうか、という気がした。それらの資料は、蔚山広域市における動物個体群の状態を把握する良い資料になるはずだし、市民団体が博物館と連携して、調査や学習をし、活動をより発展させる道があるのではとも思ったので。
 そこで、通訳の人に蔚山広域市の博物館について聞いてみると、驚いたことに蔚山広域市には自然史系の博物館はないそうだ。1960年代以降の蔚山の発展をテーマにした博物館と、開発で出て来た土器類の考古資料を扱う博物館だけだそうな。著しく発展した都市では、過去や現在の自然の記録や研究を行ったり、学校教育と連携、あるいは社会教育として自然史系の教育普及活動を行う自然史系博物館は不可欠だと思うのだが、「ない」ということにかなり驚いた。
 この日出席していた市民環境団体が、あるいは団体会員の個々人が自然環境について学ぶのはどこなのだろう?

2.極寒期の餌やり活動
 野生動物への餌やりは通常「不可」と思っていたので、驚いた。ロードキルが起こりやすい所に動物をおびき寄せる、必要以上に個体数を増やす、餌に依存した生活になる等、むしろロードキルを増やしはしないか、と疑問に感じた。また、餌には植物の果実や種子も用いていたようなので、植物個体群への遺伝的攪乱の可能性もあるかと。
 まあ、その辺を通訳を通して、交流会とは別の場で聞いたのだが、まーもどかしいこと。ちょっとでも生物学的な語が入ると、訳がうまくできないらしく・・・それでもなんとか聞き出せたのは・・・
 まず、昨年設立されたばかりで、とにかくロードキルを減らすために動き始めたところで、具体的な活動はこれからどんどん検討していくとのこと。
 餌やりは、野生動物を道路から遠ざけ、道路のない地域にとどめるために行っている。
 植物個体群の遺伝的攪乱は、問題ないと思うと。なぜなら、餌のドングリは、秋に食用にするトトリ(どんぐり)拾いにきた人々に、拾ったドングリの一部を餌として寄付してもらったもので、それを山に返しているから、だそうだ。
 それで、ちょっと韓国に来て疑問に思ってたんだが、山がものすごく単調。何かの落葉樹(おそらくドングリの類い)と松しか生えてない。下草も一切ない。熊本に比べると緯度も高いので熊本の山と比べてもいかんけど、利用しまくってる山じゃないかなぁ。ドングリ拾うための山に見える。うーん、知識が足りない・・・
 この団体は、先進の団体と連絡や連携とったがいいと思うなぁ。日本でロードキル扱ってる団体・・・知らないなぁ。あると思うんだけど。
韓国の都市周辺の山
交流会終わって食事会。ビビンパ食べた。韓国きて2回目。おいしかったよ。気に入ったのでは、その後でて来た甘い飲み物。「韓国茶」と説明されたが、茶色で、ニッケの香りがして、うす甘い。柿(干し柿?)が入っているとも言われた。おいしい。
甘いお茶。
午後は、環境都市蔚山広域市のシンボル太和江の見学。工業の発達で、悪臭を放ち、魚の死体が流れる川だったが、汚水の流入を完全にとめ、下水や排水の処理施設を完備し、障害物を取り除いたり流量を確保してよるスムーズに流れるようにして汚染を低減していったそうだ。護岸もそれまでのコンクリートをすべてはがし、土と石で固め直した。上流から下流までのほぼ全体に、市民が憩えるハイキング・サイクリングコースを整備した。などなど・・・その気概、徹底ぶりも素晴らしいのだが、いやぁ体力(経済力)あるなぁと。初期費用に寄付か募金のような形で集めたお金をあて、市民が参加し、市民の理解が得られるような工夫もしたらしい(聞き漏らして、あとから他の参加者から聞いた・・・)
太和江展望所からのパノラマ撮影。ちょっと無理があったか。

河岸はこんな感じ。多自然工法というものか?
あとは、対岸に渡って竹やぶを歩いた。かつて、地下茎が土地をつかんで洪水に強いとかで植えられてたことに習い、植えたそうだ。マダケの様々な品種が植えられていた。加藤清正も同じようなことをしたと聞いたことがある。この、タケを植えたことで、多数のミヤマガラスが越冬地として利用することになった。

 その後は、太和江の水質浄化に一役買った、屈火水質改善事業所。うん、浄化してた(略)

 夕暮れ近くなり、ミヤマガラスの群れが見れるスポットに。川のすぐ近くまで街が迫っているが、川をのぞむビルの一階にビジターセンターがあり、その正面が観察スポットになっている(写真撮り忘れた)。ビジターセンターはカフェのような内装で、そこでコーヒーでも飲みながらカラスが寝床に集まるのを待ち、集まってきたらポッとあるいてカラスを見る。この利用しやすさは、なかなかにすばらしい。
カラスの群れ。ミヤマガラス7、コクマルガラス3くらいの割合らしい。


日も暮れたので夕食会。でも写真撮り忘れた・・・