2019年9月22日日曜日

本「栃と餅」

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2009/11/01公開

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トチノキを見つけたついでに、食べてしまおうと思い、いろいろと資料をあさりました。そのとき見つけた本の中で面白かったのがこれ。



題名は「栃と餅」ですが、副題に「食の民俗構造を探る」とあるように、栃をはじめとした米以外の主要食物に焦点を当てた、民俗学的な食の分析をしている本です。(まあ、民俗学は守備範囲外なので、著者の方がみたら「ちゃうねん!!」といわれるかもしれませんが・・・)

栃を食べる地域や、そこここでの食べ方についてとてもよくまとめてあります。そのほか、最近、健康にいいなどのうたい文句で「雑穀」などと呼ばれている、黍、粟などの穀物についても詳しく述べられています。

これらの食物の普段の食事と晴れの日の食事での使われ方やその意味などとても分かりやすく、たいへん楽しく読みました。

終章「食の民俗思想−二十一世紀につなぐもの」での「同じ釜の飯」についての下りは、個人的にはとても熱く心に響くものでした。勝手なこじつけながら、この夏に公開された映画「サマーウォーズ」で描かれた家族像、人間関係の在り方に相通じるものがあるな、と感じました。


栃餅だけでなく、むかしから利用されてきた食べ物などに興味のある方は、お試しください。
あ、サマーウォーズもDVDが出たらご覧あれ。おすすめです。

<本の紹介>ドリアンー果物の王

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2011/05/01公開

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食べ物に関する本はとても好き。料理の本も好きだけど、見たことない、食べたことないものを解説している本がすごく好き。

そんな本の中でのお気に入りがこの本。
果物の王者ドリアンと聞いて誰もが思い浮かぶのが「くさい」。本当ににおいが強烈らしいです。(参考 ナショナルジオグラフィック「マレーシア 魅惑のフルーツ ドリアン
それに答えるように、第1章はにおいの話題から始まり、さらにはドリアンの選び方まで詳しく解説してある。

第3章「ドリアンのいろいろ」はたのしく読んだ。
日本では「ドリアン」って一言でくくられるけれど、原産地にはいくつか種類があり、それらが紹介されている。どんな形の多様性があり、味の多様性があるのか、は読んでてとてもたのしい。

一通り読み終わると、東南アジアにドリアンを食べに行きたくなっちゃうと思う。というか、行きたくなりました。

<本の紹介>バージェス頁岩化石図譜

別ブログで上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2011/05/06公開

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 本棚を整理していたら、以前かなりはまって読んだ本が出てきた。テレビで「カンブリア紀の大爆発」いう言葉が騒がれだした頃に購入したと思う。NHKの番組かなんかで、アノマロカリスの復元模型やCGがでてきて、「はー!こんな生き物が地球にいたんだ!」と感動した。植物学の道を進んでいた自分に、「動物ってすごい!」と(いまさらながらに)思わされた出会いだった(同時に、いかに狭い価値観の中にいたかも露呈したのだが)。そのときの感動に促されるままに読んだいくつかの本のうちのひとつがこれだった。

 5000円以上の本って当時貧乏学生だった(今も貧乏には変わりないが)私にとってはつらい出費だった。しかし、生命の進化は「簡単なものから複雑なものへ」という単純なものではなく、「現在よりも多様な体制の生き物が爆発的に出現し、それらが淘汰され生き残ったものが現在の生物相につながっている」という太古のダイナミックな生命進化の現象を明らかにしたバージェス頁岩の化石たち。これを手元に置いてみれるなんてすばらしい!と感じ、何度も大学の生協に通い、立ち読みし、ついには誘惑に負けて購入した思い出がある。

 気に入った点がいくつかあるのだが、ひとつはなんといっても化石の写真と復元図があること。何てったって化石図譜なのでそこがおろそかだったら話になんないけど。
写真は白黒だが、鮮明である。というか、白黒の方が化石の形をはっきり見れるから白黒なんじゃないかなぁ。A5サイズの本だけど、ほとんどが1ページ一杯のサイズ拡大されていて、見応えがある。
 そして、写真のほとんどに復元画が添えられている。この復元図はどれも線画と点描で描かれた精緻なもので、前書きによると、いずれも研究者がそれぞれの研究の成果に基づき作成したものである。化石の写真と見比べ、「はーこの部分がこうなるのか」と見比べるのはすごく楽しい。

 もうひとつはカンブリア紀の生物の研究について分かりやすく書かれていること。特に研究史の部分は、多くの研究者の熱意と情熱が伝わってくる読み応えのある部分だった。

 もう一度読んでみようかな。

<本の紹介>カエルを釣る、カエルを食べる 両生類の雑学ノート

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オリジナルは2011/05/14公開

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 息子がわたしの本棚をあさっていた。中学校で朝自習時に読む本がいるらしい。一緒に探しているうちに発掘された本のひとつ。

 ほんのタイトルだけ見ると、遊び?ゲテモノ食い?と疑念が頭をよぎるが、内容は民俗学的視点を通した真面目で楽しい本だった。本の著者紹介によると、著者の周達生さんは、生物学や民俗学を修めた方で、主に食に関する民俗学の著書を多数出されている方だ。本のはじめには、鮮やかなカエルの写真と、おいしそうなカエル料理の写真が並び、章の扉にはかわいらしいカエルのロゴがある。

 第1章「カエルの今昔」では、著者の幼少期の思い出話をはじめとした新旧のカエルの話題が展開され、読んでる方としては新しい発見や驚きがちりばめられた章だった。

 第二章「カエルを釣る」では主に日本でのウシガエル釣りの話。第三章「カエルを食べる」では、カエルを普通の食料として扱う海外で、カエルがどのように売られ、どのように調理されて食されているか。また、それらのカエルがどのように調達されているか等が紹介されていて楽しい。以後の章はカエルにまつわる民族動物学や環境学等をテーマにした章が続き、カエルの新しい話題が展開する。

 日本では、カエルを食べ物として見なくなって久しいが、食材としてのカエルを通して人の生活(民俗)を覗いてみよう。

<本の紹介>アマゾン源流 「食」の冒険

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2011/05/21公開

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 家の本棚をあらためて見てみると、今更ながら自分は「食」の本が好きなのだなと思った。レシピ本なども好きだけど、伝統食と呼ばれるものや採集活動煮よるものの加工を紹介した本が好き。どんな生き物を利用し、どのようにして手に入れ、どのように加工して食べるか、を紹介するような本である。テーマが地元から離れていると、物珍しさも手伝ってついつい読んでしまう。この本はそんな興味から手にした本。

 第1章はアマゾンの主食についての話。あく抜きの仕方や加工の仕方を、経験を交え臨場感を持って解説してくれる。主食=米、と思い込んでいる頭にとって、土地土地の主食に関する話はとても興味深く刺激的だな。

 他にもいろいろな食材が出てくる。酒、保存食、トウガラシ、市場やレストランの料理等も登場する。カラー写真も美しく、さまざまな料理や食材が並んでいる。

 その他に旅の苦労もたくさん書かれていて、アマゾンを感じる一冊だな、と思った。

生物たちの不思議な物語ー化学生態学

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2011/09/08公開

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ブログの記事で少し紹介した本。「化学生態学」ってちょっと聞き慣れない言葉だと思う。生態学ってちょっと定義が難しいと私は感じているのだが、生き物の行動、生き物同士の相互関係、相互関係で成り立つシステム(生態系)を研究対象とした分野と言う感じだろうか。その「生態学」に、「化学」の視点からアプローチするのが化学生態学、のようだ。

例えば、なぜジャコウアゲハは毒のあるウマノスズクサだけを食草として選ぶのか。その機構は?どんな物質が関与しているか?その物質によって2種の間にどんな関係が結ばれているか?などの謎に、ウマノスズクサの二次代謝産物をターゲットにした生化学的な研究を元に取り組んでいる。

他にも話題はたくさん。私は化学はあんまり興味がなくて今までスルーしてきていたんだが、なかなかこの分野も面白い。読んでみてよかった。ちょっと古い本なので入手しにくいかもしれないが、図書館などで探してみてはいかがかな?

<本の紹介>天皇はなぜ生物学を研究するのか

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2012/01/27公開

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 昭和天皇というと、激動の時代とか先の戦争とかそんな話ばかり思い起こされるのかもしれない。けれど、私の昭和天皇のイメージは、そんな話題との結びつきは強くない。それが世代によるものか、それとも一応生物学を学んだからなのか、ちょっと分からないけれど。

 学校の科目で理科が好きだった中学生の頃、「昭和天皇は生物学者でもあるんだよ」と聞いてとてもうれしくなったおもいでがある。大学生の頃は、大学の臨海実験所をご覧になっている昭和天皇の写真をみて、なんだかつながりがある気がした(気がしただけだ)。

 和歌山で働いている頃、当時の職場の方の計らいで昭和天皇ゆかりの品々を拝見する機会を得た。その中に、大学の卒論以来扱っていた植物の標本があって驚いた。その植物を新種記載するために研究していたのに、それよりはるか以前にお気づきになり標本として残されていたことに鳥肌の立つような興奮を覚えた。

 ただ、昭和天皇がなぜ生物学を研究するのか、はあまり深く考えたことがなかった。この本は、そこをじっくりと考えさせてくれる。明治以降の大転換期、世界と渡り合わなければならない。国力も上げないといけないが、天皇と各国の国王などとのつながりも深めていかなければならない。そんな時代背景からの天皇が生物学を研究する意味も解説している。とても面白い。

 個人的には、昭和天皇の「古き良き時代の生物学(博物学)」が、とてもいいなぁと感じた。