別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2012/01/27公開
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昭和天皇というと、激動の時代とか先の戦争とかそんな話ばかり思い起こされるのかもしれない。けれど、私の昭和天皇のイメージは、そんな話題との結びつきは強くない。それが世代によるものか、それとも一応生物学を学んだからなのか、ちょっと分からないけれど。
学校の科目で理科が好きだった中学生の頃、「昭和天皇は生物学者でもあるんだよ」と聞いてとてもうれしくなったおもいでがある。大学生の頃は、大学の臨海実験所をご覧になっている昭和天皇の写真をみて、なんだかつながりがある気がした(気がしただけだ)。
和歌山で働いている頃、当時の職場の方の計らいで昭和天皇ゆかりの品々を拝見する機会を得た。その中に、大学の卒論以来扱っていた植物の標本があって驚いた。その植物を新種記載するために研究していたのに、それよりはるか以前にお気づきになり標本として残されていたことに鳥肌の立つような興奮を覚えた。
ただ、昭和天皇がなぜ生物学を研究するのか、はあまり深く考えたことがなかった。この本は、そこをじっくりと考えさせてくれる。明治以降の大転換期、世界と渡り合わなければならない。国力も上げないといけないが、天皇と各国の国王などとのつながりも深めていかなければならない。そんな時代背景からの天皇が生物学を研究する意味も解説している。とても面白い。
個人的には、昭和天皇の「古き良き時代の生物学(博物学)」が、とてもいいなぁと感じた。