2019年9月22日日曜日

【最近読んだ本】シダの扉

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2014/05/05公開

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シダの扉―めくるめく葉めくりの世界 盛口満著 八坂書房
 

   最近少し時間が取れるようになったので、本を読むことが以前よりはできるようになった。どうせならもう少し野外に出て生き物を観察できる時間が取れるようになるといいんだけどねぇ。

 さて、今回は盛口満さんの「シダの扉ーめくるめく葉めくりの世界」。はぁ、盛口さんの本は骨関係から読み始めたので、植物の本とは少し意外だった。でも、内容を見ると、元々(大学時代)は植物を扱っていらした様子。副題の「めくるめく…」というのは、シダを研究する人がシダを採集する時に行う、葉の裏に胞子嚢がついているかを確認する仕草から来ている模様。この副題を見て、「あぁ、あの仕草か」と思いついた人は、なかなかの「シダ屋」さん。

 今回も巻頭は、盛口さんのスケッチが満載。ここまでかけるようになると楽しいだろうなぁ。

 これまでの本の内容は、大体テーマの生き物そのものを扱っている、という印象だったが、今回はシダを通して見えてくる人間の生活や文化について多く述べられている。いわゆる民俗学の分野に入り込んだ内容になっている。

 著者が沖縄の大学の先生になってからの経験がベースになった本で、当然大学の子供たちに教えるときのエピソードがたくさん入っている。生物に対して興味のない子たちに興味を持たせるキーワードの一つが「食べる」ということ。どんなに興味のないことでも、「食べる」こととなると興味を持ってくれる。そこから民俗学の分野へと発展していたようだ。

 もちろん本の内容はそれだけではないのだが、シダの利用なんてなかなか面白くて、楽しく読めた。