オリジナルは2013/05/27公開
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「救荒植物」は聞いたことがあるが救荒「雑草」ってなんだろ?
あんまりこの分野のことは知らないので、とりあえず「救荒雑草」という言葉に??となった。
私の中の「救荒植物」の定義はこんな感じ。
日本の食の歴史の中で幾度となく訪れた、飢饉、災害。毎年のように育てていた作物が育たず、実をつけず、食べ物が不足してしまったとき、人々の命をつないできた植物があり、これらを救荒植物を呼ぶのだろう。この中には、飢饉を当て込んで(つまり不作の時の保険として)栽培された作物や、作物の生育の邪魔になる雑草だがもしもの時は利用されるもの、そして、山野に野生し季節の食べ物として利用する野草があると思う。
なんて考えてたら、救荒植物の利用の仕方や歴史なんかは民俗学的なテーマとしてはおもしろんじゃなかろうか、などと素人考えしてしまったので、つい手に取ってぱらぱらと読んでみた。実は、試せるものがあれば試してみようか、などとも考えつつ。
で、中身は、実用的なものではなく、どちらかといえば学術的かな?民俗学というか歴史学というか。
口にする植物は栽培された野菜か果物という現代において、「食の歴史を考える上でも救荒植物として史実に残った植物を後世に残したい思いでつづった植物誌」だそうで、内容は実用の手引きではなく、さまざまな文献に基づいた「こうこういう利用の記録がありますよ」という、内容になっている。決して、こうしたら食べられます、こういう効能があります、という本でない。(試そうというあてがはずれてしまった・・・)
それでも、「草種別の解説」に入ってみていくと、「え?これ食べるの?」とか「この植物は、季節になるとこんな器官をつくってたんか?」とか自分の無知っぷりを再確認できて、もとい、新しい知見に出会えたり、「そこまでしないと食えんのか」とか、「磨麺ってなによ?」とか、加工技術で知らないことも多く面白かった。
学術的とはいっても、本書の目的は「後世に残したい」。だから、救荒植物すべてを扱うのではなく、本を読んだ人が身近な植物で確認できるように、いわゆる雑草と呼ばれる草の中の救荒植物を扱っている。だから書名は「救荒雑草」。
救荒植物に興味を持てた一冊でした。