2019年9月22日日曜日

<本の紹介>バージェス頁岩化石図譜

別ブログで上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2011/05/06公開

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 本棚を整理していたら、以前かなりはまって読んだ本が出てきた。テレビで「カンブリア紀の大爆発」いう言葉が騒がれだした頃に購入したと思う。NHKの番組かなんかで、アノマロカリスの復元模型やCGがでてきて、「はー!こんな生き物が地球にいたんだ!」と感動した。植物学の道を進んでいた自分に、「動物ってすごい!」と(いまさらながらに)思わされた出会いだった(同時に、いかに狭い価値観の中にいたかも露呈したのだが)。そのときの感動に促されるままに読んだいくつかの本のうちのひとつがこれだった。

 5000円以上の本って当時貧乏学生だった(今も貧乏には変わりないが)私にとってはつらい出費だった。しかし、生命の進化は「簡単なものから複雑なものへ」という単純なものではなく、「現在よりも多様な体制の生き物が爆発的に出現し、それらが淘汰され生き残ったものが現在の生物相につながっている」という太古のダイナミックな生命進化の現象を明らかにしたバージェス頁岩の化石たち。これを手元に置いてみれるなんてすばらしい!と感じ、何度も大学の生協に通い、立ち読みし、ついには誘惑に負けて購入した思い出がある。

 気に入った点がいくつかあるのだが、ひとつはなんといっても化石の写真と復元図があること。何てったって化石図譜なのでそこがおろそかだったら話になんないけど。
写真は白黒だが、鮮明である。というか、白黒の方が化石の形をはっきり見れるから白黒なんじゃないかなぁ。A5サイズの本だけど、ほとんどが1ページ一杯のサイズ拡大されていて、見応えがある。
 そして、写真のほとんどに復元画が添えられている。この復元図はどれも線画と点描で描かれた精緻なもので、前書きによると、いずれも研究者がそれぞれの研究の成果に基づき作成したものである。化石の写真と見比べ、「はーこの部分がこうなるのか」と見比べるのはすごく楽しい。

 もうひとつはカンブリア紀の生物の研究について分かりやすく書かれていること。特に研究史の部分は、多くの研究者の熱意と情熱が伝わってくる読み応えのある部分だった。

 もう一度読んでみようかな。