2019年9月22日日曜日

[最近読んだ本]赤米の博物誌

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2012/12/14公開

〜〜〜〜〜ここから〜〜〜〜〜

図書館でふと目についてよんでみた。

赤米というから、最近、店先で「古代米」などの名称で売られている赤や黒や紫や緑の米のことかと思ったら、違った。今売られている赤米は、古代米でもなんでもなく、新しく作られた品種であることの方が多いそうだ。

この本で取りあげられている赤米は、昔から日本で作られてきた赤米(糠層が赤い米)でいろいろなものが扱われている。神社などで神饌米として作られてきた赤米や、大唐米(だいとうまい、だいとうごめ)という日本の広い範囲で、そしてごく最近(明治あたり)まで作られていたインディカ米など。たくさんの史料を引用して、日本の赤米の栽培や利用、流通などについて説明している。

以前、米が不作でタイ米を輸入してうまいのまずいのと騒動があったが、それよりも遥か以前に大唐米が日本に持ち込まれ、広く栽培され流通したり、自家用として消費されていたことに驚いた。

また、本の後半には、赤米に限らずかつて栽培されていた、あるいは史料に登場して今は失われたと思われるさまざまな稲の品種が登場する。その多様性ときたら、面白い。

広く均質に広がる水田やそこに揺れる一面の金色の稲穂の風景は日本の原風景のように語られるが、そうではないのかもしれない。ほんのちょっと昔の水田は今よりカラフル、あるいは雑多な風景だったのかもしれない。と思った。