2019年12月9日月曜日

図書館で「リサイクル図書」なるものを頂いてきた。

 図書館にいった時、「リサイクル図書」というのがあり本を頂いて帰ってきた。
 図書館では収蔵している図書を良好な状態に保つため、本を収拾するだけではなく、汚損したり、内容が古くなったりした図書をはずす「除籍」をするらしい。
 今回頂いてきたのは、こうした除籍処分によって図書館の図書からはずされたもののうち、まだ使用に耐えうるものを頒布するというもののようだ。一人10冊まで、転売等の商売には使いません、などの条件を承諾すると頂いて帰れる。
 図書館を訪れるときは、大体このコーナを確認してくることにしている。今回頂いたのはこれら。

子ども科学図書館A「のろりとろりカタツムリ 観察と実験のいろいろ」
文:いぬいみのる
発行年月:1980年1月
出版社:大日本図書
出版社のページ:
https://www.dainippon-tosho.co.jp/books/product/16558/



子ども科学図書館A「カリウドバチの世界 その神秘な行動」
文・写真:有賀文章
発行年月:1984年4月
出版社:大日本図書
出版社のページ:
https://www.dainippon-tosho.co.jp/books/product/16568/


子ども科学図書館B「巣をつくる魚トゲチョ イトヨの攻撃行動をさぐる」
著者:大塚高雄
発行年月:1988年6月
出版社:大日本図書
出版社のページ:
https://www.dainippon-tosho.co.jp/books/product/16581/



チョウとヤブキリ (1978年) (昆虫おはなし絵本)
ヘレン=ピアーズ (著), ポーリン=ベインズ (イラスト), 小田 英智 (翻訳)
発行年月:1978年7月
出版社:偕成社
発売日:1978/07
出版社のページ:https://www.kaiseisha.co.jp/
(この本のページはみつけられず)


水辺に咲く植物―ヒシ・ミツガシワ・ネジレモ・サンショウモ・タヌキモ (身近な植物の一生)
著者:南光 重毅
出版年月:1984年1月
出版社:誠文堂新光社
出版社のページ:https://www.seibundo-shinkosha.net/
(この本のページはみつけられず)



写真絵本「巣をつくるサカナ」
著者:桜井 淳史
発行年月:1981年7月
出版社:新日本出版社
出版社のページ:https://www.shinnihon-net.co.jp/
(この本のページはみつけられず)
 

 当たり前だが、いずれも結構古い本。大日本図書の3冊は出版社のホームページに情報はあったが、購入しようとすると在庫が無い旨とネット上で書籍が購入できるいくつかのページへのリンクが表示される。他の3冊は出版社のホームページにも情報はなく、Amazonで調べると古書での販売等が示される。
 ウェブ上の情報と違い、出版された個々の本は当然情報のアップデートはされないので、時間が経つとどうしても内容が古くなり、今となっては間違ったものになっていたりする。特に科学系の書籍では、その傾向が強いかもしれない。それでも、どのような本が作られていたのか、どのような伝え方をしようとしたのか、当時はどんな自然観だったのかなど、情報はたくさんつまっており、どうしても頂いてきてしまう。
 Amazonのリンク貼ったけど、買えるのかな?

2019年11月16日土曜日

動物園で学びそこなった話

 先日、「そうだよね」というツイートを見かけた(下記)。

 ある生物を観察したり、写真撮とたりする際のなんらかの行為が、その生物に良くない影響を与えるなんて、よく聞く話。ツイートで言われているように、それなりに知識のある人に話しを聞けたり、レクチャーを受けたりする機会があると本当にいいと思う。
 こういった機会を提供できるものの一つとして、動物園があるのではないかな、という気がする。そのきっかけは、最近よく行く動物園での(ちょっと悲しい)体験だった。

 その動物園には人が入る形式の鳥舎がある。かなり広い面積をでっかく金網で囲っており、鳥を見るために人間がその中に入り、コースを散策するというもの。中にはクジャクやサギの仲間がいたように思う。そこに、子供と一緒に入ったときのこと。
 子供が止まり木にとまっているクジャクを見ていた。子供はこれまで、こんなに大きな鳥を、隔てるものなく、間近で見る経験は初めてで、自分が顔を近づけるとクジャクは顔を背けるような反応示すことに気づいて、何度か試していた。私は、子供が鳥の反応に気づき、興味をしてしていることに嬉しく思いつつも、動物を驚かすのも良くないので「ほら、怖がってるよ、良くないんじゃない?」などと声をかけていた。
 そこへ、背後から近づいてきた飼育員が、突然子供に向かって「やめてくれませんか、怖がってるの分かるでしょ」と注意してきた。注意といったが、その口調と表情はあまりに厳しく、小学生に対する物言いではない。明らかに「威嚇」・「恫喝」と呼べるほどのもの。「わかっていますよ」とわたしが返事したら、そのまま黙って出て行ったけれども、いったいその飼育員は何がしたかったのか。鳥を追いかけ回したり、捕まえたりしていたわけではない。足音を立てないようにゆっくり歩いていたし、追いかけるような位置取りになりそうならば、歩みを緩めたり、進路を変えたりしていた。わざわざ小声で話すほど気を使っていた。それなのに、この仕打ち。

 では、来園者としてどうして欲しかったか。やはり、教えて欲しかったというのが一番。首の動き、目の動き、脚の動きが、その鳥のどんな状態の現れなのかを教えて欲しい。警戒、怯えか、あるいは逃亡や攻撃の準備なのか、それらの動き出た時には、私たちはどう行動を改めるべきなのか、そこをしっかり教えて欲しい。今回の経験によって子供が得られたことは、「怖いおっちゃんが凄むから、鳥に近づいてはいけない」である。動物園の方々は、来園者にそんなことを学ばせたいのだろうか。ちがうでしょう?
 今回の、鳥の感情と行動のこと一つにおいても、これをしっかりと動物園側が伝えられていたら、動物をとりまく人間社会にとってどれほど有益だったろうか。単に鳥への接し方からはじまり、鳥や野生動物への関心の広がり、動物園での職業(飼育員や獣医師等)への興味、生物学や獣医学、農学など動物と関わる事物への関心の深まりなど、個別に数え出すと枚挙に遑がない。来園者への対応は、社会の発展に対してものすごい可能性を秘めているものだと思う。
 動物園の職員は動物を飼育し命を預かる職業なので、動物のことをとても大事に思うのは理解ができる。しかし、そうではあっても、場所は動物園、来園者に見せるための施設であり、来園者へのサービスを優先して欲しい。来園者へ、動物との接し方を誠実に伝えていくことで動物に関心を持つ人々が増え、ひいては飼育員がのぞむような、動物にとって好ましい環境で飼育することのできる社会の実現に近づけるのではないか。そう思えてならない。

 動物園の皆様へ。私は動物を学びたくて動物園を訪れています。動物のプロとして、たくさん教えてください。怒らずに。
 宜しくお願いします。

2019年10月27日日曜日

科学絵本読み聞かせ「ツーティのうんちはどこいった?―ハナグマの森のものがたり」

 年に2回ほど回ってくる小学校での絵本読み聞かせ会。朝の朝礼後と一時間目の間の15分でおこなわれるPTAの行事の一つで、自分の子どものクラスに行けるようにお願いしている。
 今回は6年生のクラス。選んだ本はこちら



書名 ツーティのうんちはどこいった?―ハナグマの森のものがたり
著者 文・越智 典子 絵・松岡 達英
形式 大型本: 31ページ
出版 偕成社(2001年)

 ハナグマのツーティが、ある日、自分がしたうんちがどうなるか気になり、見張り、うんちを中心に生きる生き物たち(主に糞虫の仲間)に気づくというお話。うんちが題材ではあるが楽しいストーリーで、小学校低学年から高学年まではもちろん、いきものに興味があるなら大人でも楽しめる絵本だ。
 個人的に絵はすごく気に入っている。主人公やその兄弟たちの絵は、かわいらしい絵ではあるがかなり本物に忠実なようで、ネットで検索したハナグマの写真や動画に出てくるハナジロハナグマを良く表現している。背景に出てくる動植物については、さらに精度が上げてあり、図鑑かと思わせるほどの充実ぶり。これは絵を見るだけでも楽しい。

 ただ、これを選ぶにも少し気になる点はあった。それは、うんちが題材であること。まず、小学6年生という思春期の子たちに、果たして素直に受け入れられるか分からなかった。低学年だったら「うんちー!!」とはしゃぐんだろうけど。そして、朝一番の実施というのも気になった。朝っぱらからうんちの話し・・・朝からうんちをするのは基本的な生活習慣とされるけれども、神経質な子は嫌がるかも・・・
 とは考えつつ、まあいっか、えいやっ、と選んだ。

 結果、嫌がった子はいたかもしれないが、読み聞かせ会が困難になるようなことはなかった。絵本好きな子たちは、前に陣取り、クスクス笑いながら聞いてくれた。素直で楽しめる子たちで良かった・・・

 読み聞かせの後は、恒例の実物で体験。今回は、絵本で出てきた糞虫の仲間で、日本で採られた標本を持ち込んだ。昆虫標本を触るわけにはいかないし、うんち虫だしで、今回は見るだけ。



 絵本の舞台はハナグマが生息するアメリカ大陸の方で、ならばうんちにくる虫もアメリカだけなのか、いやそうではなくて日本にもいるという導入から始めた。小学校の裏手にある山にいる動物について質問し、いろんな動物を見たという体験談が出たところで、そのうんちを食べる虫もいるんだよ、と標本を見せた。
 さすがに絵本を見た後なので、うんちを食べてた虫だと分かっていて、遠巻きにする子がとても多かった・・・形や色の特徴なんかを話しながら見せて回っていたら少しずつ覗き込んでくれるようになった。まあ、確かにちょっと引くかもな。
 一応成功ということで、良いか。

 これらの標本は、自分で採ったものではなく職場にあったもの。簡易な貸し出し展示キットを作る話があり、そのプロトタイプ的な意味合いで(ということにして)動物担当に作ってもらった。解説文も以前の動物担当がつくったミニ展示を流用している。うまいこと軌道に乗ると良いのだが。

 この絵本はシリーズ物の2作目で、1作目はこちら。


書名 ツーティのちいさなぼうけん―ハナグマの森のものがたり
著者 文・越智 典子 絵・松岡 達英
形式 大型本: 31ページ
出版 偕成社(1999年)


子ハナグマのハラハラする冒険もので、ハナグマの習性も分かってくる。そして、絵の書き込みがすごく、こちらも図鑑のよう。家で息子相手に読んだときは、その後で生き物の絵探し・鑑賞会となったほど。

 糞虫はその見た目と生活の面白さ、無視しがちであるが身近なうんちに関することであることから、生き物屋界隈ではよく取りあげられる題材で、本も出ている。

この本は勉強に使った。


 これは絵本でとても良い本だけど、直接的な写真なので今回の読み聞かせには使わなかった。ほんとうに迷ったけどやめた。


 あと、糞虫といえばフンコロガシ(スカラベ)、といえばファーブル昆虫記。
 個人的に読みやすかったのはこれ。


 ファーブル昆虫記っていろんな訳本が出てるんだなぁ。Amazonで検索するとわらわら出てくる。





2019年10月24日木曜日

どうして勉強しないといけないの?—考え中。

「どうして勉強しないといけないの?」

 子育て中だし、中高生と接することもままあるので、たびたび聞くし、なんとなくいつも考えているテーマ。ネットを検索すればいろいろな意見が引っかかってくるし、それらを読むといろいろまた考えてしまう。かといって良い答えを出しているわけではないが。そこで、調べたこと、思いついたことをちょっとメモ。

答え1「勉強したことは役に立つ」

まず考えてしまうのは、「習ったことはこういうことに役立つよ」というような、実際に有用だからという感じの、即物的というか、目的論的というような答え。
 学研の子ども向けサイトは、低年齢を対象としているのか、そんな感じ。

どうして勉強しなければいけないの|Gakkenキッズネット
https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/science0549/

答え2「勉強した経験が役に立つ」

「習った事が役に立つ」から発展して、勉強で覚えた知識そのものではなくて、その過程で得た考え方や理論、あるいは頑張ったり失敗したりした経験が将来役に立つ、という答え。
 
●学校で勉強する意味|なぜ将来役に立たないことも勉強するのか
https://torebook.jp/seityou4.html

●東京大学名誉教授はこう答える! 子どもに「どうして勉強しないといけないの?」と聞かれたら|STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ
https://kodomo-manabi-labo.net/why-study

 読んでみると、なるほどなぁと結構同意できるし、こういう風に話したら伝わるのかも、という気がする。

答え3「社会のため?」

これまでの答えは、「子ども自身に対してどんな意味があるか」という答えだった。それだけではない感じの答えが下記のもの。

●「なんで勉強しなきゃいけないの?」と子供に聞かれたら、こう答えよ(瀧本哲史)|現代ビジネス 講談社
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/49003?page=2

 大人向けのサイトみたいだけど、記事は子ども向けで、非常に読みやすく、伝わりやすい。読んでて非常に面白く、また共感した。
 ぜひ読んで欲しいのだが、「学ぶことで未来が変わるよ」というようなことを言っている。ここでいう未来は、学習者個人の未来でもあるが、人間社会の未来とも受け取れる。そんな答えだ。

 なんでそんなに共感したかというと、最近、何となく似ていることを考えていたから。どのようなことを考えていたか・・・
 たとえば、本当にあり得ないけど、何かの弾みで、縄文時代の生まれたばかりの子どもが現代へきてしまったとする。その子が現代社会で普通に育てられたらどんな人間になるだろうか。
 縄文時代の人も現代の人も、ともにヒト(Homo sapiens)という同じ種だし、生物が数千年かそこらで劇的に進化するともあまり考えられない。なので、おそらく、その縄文時代の子どもは、現代人と何ら変わらない人に育つ気がする。現代の言葉を話し、コンビニで買い物し、スマホでコミュニケーションをとり、ゲームであそぶ。
 となると縄文時代のヒトと現代のヒトの違いは、「文化」しかないことになる。ヒトが学び(勉強)を辞めたら、これまで積み重ねてきた知識・経験が忘れられ、文化が消え去ってしまうのではないか。文化を失った現代人はどのようにして生き残れるのか。ここに「勉強しないといけない理由」があるかもしれないと思った。しかし、これは「今の便利な生活や社会の維持、発展のための勉強」というずいぶん後ろ向きな答えに行き着くことになった。これはとても子どもに伝えられない。そもそも社会のために人がいるわけではないのだし。ちょっと失敗したな、という感じの考えだ。
 しかし、この個人の勉強と社会の関係を、上記の瀧本さんの記事は「未来を変える」という超ポジティブフレーズで表現している。しかも、自分がひらいた未来で、世界の未来が変わるというもの。人の営みで社会が作られている点がきちんと伝わってくる。
 たしかに、そうだよね。


2019年10月13日日曜日

ゾウの一頭飼いは良くないらしい。

さて、最近たびたび訪れる大牟田市動物園

 個々にはゾウがいない。数年前に飼育していたゾウが亡くなってから、飼わない方針にしたそうだ。

理由としては、
 ゾウは社会性の動物であり、社会(群れ)から離して1頭だけで飼育することだけでもゾウにとってはストレスであり、動物福祉の観点からそういったことはできない、ということらしい。
 他にも、段々減少しつつある分類群であることや、金銭的な問題もあろうが、素晴らしい決断である。
 先日、まさにこのことに関するニュースを見た。同じこと言っている。

ゾウ1頭飼育は「福祉に反する」 警鐘に動物園どうする|朝日新聞https://www.asahi.com/articles/ASM8B5S41M8BUUHB00V.html

しかし、こういったことをいち早く判断して取り入れられるって、やはり、職員の専門性が高く、最新の情報を常に収拾しているからなのだろうな、と思う。

「大牟田市動物園 ゾウはいません」などで検索すると、いろいろ記事が出てくる。興味深く読んだ。

“動物の幸せ”が集客に:「ゾウはいません」と掲げる動物園が、閉園危機から復活できた理由|稼ぐ戦略 by ITmediaビジネスONLiNE

【動物を幸せに~大牟田動物園の挑戦】(1)「福祉を伝える」出勤はモルモット任せ|西日本新聞
【動物を幸せに~大牟田動物園の挑戦】(2) 環境エンリッチメント(上) 狭くとも選択肢増やす|西日本新聞
【動物を幸せに~大牟田動物園の挑戦】(3) 環境エンリッチメント(下) マンドリルに初の砂場|西日本新聞
【動物を幸せに~大牟田動物園の挑戦】(4) ハズバンダリートレーニング(上) キリン採血 成功までに|西日本新聞
【動物を幸せに~大牟田動物園の挑戦】(5) ハズバンダリートレーニング(中) 1日5分の訓練を重ね|西日本新聞
【動物を幸せに~大牟田動物園の挑戦】(6) ハズバンダリートレーニング(下) 改善策はみんなで議論|西日本新聞
【動物を幸せに~大牟田動物園の挑戦】(7) 手作り説明板 人の関心が保護に弾み|西日本新聞
【動物を幸せに~大牟田動物園の挑戦】(番外編) NPO法人「市民ZOOネットワーク」代表理事 佐渡友陽一さんインタビュー|西日本新聞

個性派動物園で考える"動物と人の幸せな未来"|西部ガスグループ

動物園が変わってきている!?

 今年3月に大牟田市動物園で開催された屠体給餌のシンポジウムを見に行って以来、動物園って面白いな、と思うようになった。そのためか、動物園に関する情報が目につくようになった。何となくアンテナを張ってるような状態なのだろう。その中で、最近、驚いたニュースがこれ。(前読んだときは全部読めたんだけど、今は有料記事になっている。)

問われる、そのあり方 動物園、実は役に立っていない?─研究によると「生きた動物を見ることは教育に良いわけでもない」|Courrier
https://courrier.jp/news/archives/173204/?ate_cookie=1570887163

 学習効果が低い、社会教育の役に立っていない、動物の保護に役立っていないなど、ものすごく動物園を否定しているが、根拠もきちんと示せていない。なんなのかなぁと思っていたらtwitterで、これが元記事じゃないか?というツイートが流れてきた。ちょっと保存してなくてどなたのツイートか分かんなくなっちゃったんだけど、情報収集能力すごいなぁ。
 で、その元記事らしいのはこれ。

Should zoos exist?|FastCompany
https://www.fastcompany.com/90365343/should-zoos-exist

 直訳すると「動物園は存在すべきか」なのだろうか。かなり攻めてる題名な気がする。英語は苦手だが、とにかく頑張って読んでみたところ、いろいろ面白かった。
 まず、日本の記事で揚げてあった動物園への否定的な意見と似たようなことが述べられていた。が、驚いたのはその個々について、その主張の根拠となる研究論文へのリンクがあり、その研究がどのような問題意識から、どのような調査研究をし、どんな結果が出たからこう主張するんです、というのがちゃんと書かれていた。
 これを見て、日本遅れているよ、と本気で思った。見出しだけ、結論だけで知った気になってていい時代じゃないよ、と。記事書く方も、強気で読者を攻めにゃあ。

 結局、記事の内容はかなり動物園を否定するものだったが、それも、書いている人がおそらく動物福祉の方にかなり軸足を置いているからだろうと読み取れた。平たい言い方をすると、娯楽とか、楽しみとか、教養とか、学習とかの人間の都合で動物を振り回したら良くないよ、しっかり守っていこう、という考えに立脚しているようで、そうならば動物園を否定するのも分かるというもの。

 かといって同意できるものはななく、個人的には「動物園は必要だよ」と思う。なぜなら、動物を守らなきゃと思う人、あるいは記事内で充実を提唱しているサンクチュアリで保護事業にあたる人は、そこに至るまでのどこかで、動物を大切に考えるようになるきっかけとなった(なる)出来事・経験を経ているはずで、この出来事・経験の場を提供するのが動物園の役割だと思うからである。さらに動物園によって、より多くの人が動物に親しみを持つことは、動物保護や動物福祉に理解を示す人々が増え、社会がこれらの考えに価値を認めることに繋がる。
 動物園は、「裾野を拡げる」という重要な役割を持っていると思う。

2019年9月22日日曜日

本「栃と餅」

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2009/11/01公開

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トチノキを見つけたついでに、食べてしまおうと思い、いろいろと資料をあさりました。そのとき見つけた本の中で面白かったのがこれ。



題名は「栃と餅」ですが、副題に「食の民俗構造を探る」とあるように、栃をはじめとした米以外の主要食物に焦点を当てた、民俗学的な食の分析をしている本です。(まあ、民俗学は守備範囲外なので、著者の方がみたら「ちゃうねん!!」といわれるかもしれませんが・・・)

栃を食べる地域や、そこここでの食べ方についてとてもよくまとめてあります。そのほか、最近、健康にいいなどのうたい文句で「雑穀」などと呼ばれている、黍、粟などの穀物についても詳しく述べられています。

これらの食物の普段の食事と晴れの日の食事での使われ方やその意味などとても分かりやすく、たいへん楽しく読みました。

終章「食の民俗思想−二十一世紀につなぐもの」での「同じ釜の飯」についての下りは、個人的にはとても熱く心に響くものでした。勝手なこじつけながら、この夏に公開された映画「サマーウォーズ」で描かれた家族像、人間関係の在り方に相通じるものがあるな、と感じました。


栃餅だけでなく、むかしから利用されてきた食べ物などに興味のある方は、お試しください。
あ、サマーウォーズもDVDが出たらご覧あれ。おすすめです。

<本の紹介>ドリアンー果物の王

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2011/05/01公開

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食べ物に関する本はとても好き。料理の本も好きだけど、見たことない、食べたことないものを解説している本がすごく好き。

そんな本の中でのお気に入りがこの本。
果物の王者ドリアンと聞いて誰もが思い浮かぶのが「くさい」。本当ににおいが強烈らしいです。(参考 ナショナルジオグラフィック「マレーシア 魅惑のフルーツ ドリアン
それに答えるように、第1章はにおいの話題から始まり、さらにはドリアンの選び方まで詳しく解説してある。

第3章「ドリアンのいろいろ」はたのしく読んだ。
日本では「ドリアン」って一言でくくられるけれど、原産地にはいくつか種類があり、それらが紹介されている。どんな形の多様性があり、味の多様性があるのか、は読んでてとてもたのしい。

一通り読み終わると、東南アジアにドリアンを食べに行きたくなっちゃうと思う。というか、行きたくなりました。

<本の紹介>バージェス頁岩化石図譜

別ブログで上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2011/05/06公開

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 本棚を整理していたら、以前かなりはまって読んだ本が出てきた。テレビで「カンブリア紀の大爆発」いう言葉が騒がれだした頃に購入したと思う。NHKの番組かなんかで、アノマロカリスの復元模型やCGがでてきて、「はー!こんな生き物が地球にいたんだ!」と感動した。植物学の道を進んでいた自分に、「動物ってすごい!」と(いまさらながらに)思わされた出会いだった(同時に、いかに狭い価値観の中にいたかも露呈したのだが)。そのときの感動に促されるままに読んだいくつかの本のうちのひとつがこれだった。

 5000円以上の本って当時貧乏学生だった(今も貧乏には変わりないが)私にとってはつらい出費だった。しかし、生命の進化は「簡単なものから複雑なものへ」という単純なものではなく、「現在よりも多様な体制の生き物が爆発的に出現し、それらが淘汰され生き残ったものが現在の生物相につながっている」という太古のダイナミックな生命進化の現象を明らかにしたバージェス頁岩の化石たち。これを手元に置いてみれるなんてすばらしい!と感じ、何度も大学の生協に通い、立ち読みし、ついには誘惑に負けて購入した思い出がある。

 気に入った点がいくつかあるのだが、ひとつはなんといっても化石の写真と復元図があること。何てったって化石図譜なのでそこがおろそかだったら話になんないけど。
写真は白黒だが、鮮明である。というか、白黒の方が化石の形をはっきり見れるから白黒なんじゃないかなぁ。A5サイズの本だけど、ほとんどが1ページ一杯のサイズ拡大されていて、見応えがある。
 そして、写真のほとんどに復元画が添えられている。この復元図はどれも線画と点描で描かれた精緻なもので、前書きによると、いずれも研究者がそれぞれの研究の成果に基づき作成したものである。化石の写真と見比べ、「はーこの部分がこうなるのか」と見比べるのはすごく楽しい。

 もうひとつはカンブリア紀の生物の研究について分かりやすく書かれていること。特に研究史の部分は、多くの研究者の熱意と情熱が伝わってくる読み応えのある部分だった。

 もう一度読んでみようかな。

<本の紹介>カエルを釣る、カエルを食べる 両生類の雑学ノート

別ブログで上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2011/05/14公開

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 息子がわたしの本棚をあさっていた。中学校で朝自習時に読む本がいるらしい。一緒に探しているうちに発掘された本のひとつ。

 ほんのタイトルだけ見ると、遊び?ゲテモノ食い?と疑念が頭をよぎるが、内容は民俗学的視点を通した真面目で楽しい本だった。本の著者紹介によると、著者の周達生さんは、生物学や民俗学を修めた方で、主に食に関する民俗学の著書を多数出されている方だ。本のはじめには、鮮やかなカエルの写真と、おいしそうなカエル料理の写真が並び、章の扉にはかわいらしいカエルのロゴがある。

 第1章「カエルの今昔」では、著者の幼少期の思い出話をはじめとした新旧のカエルの話題が展開され、読んでる方としては新しい発見や驚きがちりばめられた章だった。

 第二章「カエルを釣る」では主に日本でのウシガエル釣りの話。第三章「カエルを食べる」では、カエルを普通の食料として扱う海外で、カエルがどのように売られ、どのように調理されて食されているか。また、それらのカエルがどのように調達されているか等が紹介されていて楽しい。以後の章はカエルにまつわる民族動物学や環境学等をテーマにした章が続き、カエルの新しい話題が展開する。

 日本では、カエルを食べ物として見なくなって久しいが、食材としてのカエルを通して人の生活(民俗)を覗いてみよう。

<本の紹介>アマゾン源流 「食」の冒険

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2011/05/21公開

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 家の本棚をあらためて見てみると、今更ながら自分は「食」の本が好きなのだなと思った。レシピ本なども好きだけど、伝統食と呼ばれるものや採集活動煮よるものの加工を紹介した本が好き。どんな生き物を利用し、どのようにして手に入れ、どのように加工して食べるか、を紹介するような本である。テーマが地元から離れていると、物珍しさも手伝ってついつい読んでしまう。この本はそんな興味から手にした本。

 第1章はアマゾンの主食についての話。あく抜きの仕方や加工の仕方を、経験を交え臨場感を持って解説してくれる。主食=米、と思い込んでいる頭にとって、土地土地の主食に関する話はとても興味深く刺激的だな。

 他にもいろいろな食材が出てくる。酒、保存食、トウガラシ、市場やレストランの料理等も登場する。カラー写真も美しく、さまざまな料理や食材が並んでいる。

 その他に旅の苦労もたくさん書かれていて、アマゾンを感じる一冊だな、と思った。

生物たちの不思議な物語ー化学生態学

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2011/09/08公開

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ブログの記事で少し紹介した本。「化学生態学」ってちょっと聞き慣れない言葉だと思う。生態学ってちょっと定義が難しいと私は感じているのだが、生き物の行動、生き物同士の相互関係、相互関係で成り立つシステム(生態系)を研究対象とした分野と言う感じだろうか。その「生態学」に、「化学」の視点からアプローチするのが化学生態学、のようだ。

例えば、なぜジャコウアゲハは毒のあるウマノスズクサだけを食草として選ぶのか。その機構は?どんな物質が関与しているか?その物質によって2種の間にどんな関係が結ばれているか?などの謎に、ウマノスズクサの二次代謝産物をターゲットにした生化学的な研究を元に取り組んでいる。

他にも話題はたくさん。私は化学はあんまり興味がなくて今までスルーしてきていたんだが、なかなかこの分野も面白い。読んでみてよかった。ちょっと古い本なので入手しにくいかもしれないが、図書館などで探してみてはいかがかな?

<本の紹介>天皇はなぜ生物学を研究するのか

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2012/01/27公開

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 昭和天皇というと、激動の時代とか先の戦争とかそんな話ばかり思い起こされるのかもしれない。けれど、私の昭和天皇のイメージは、そんな話題との結びつきは強くない。それが世代によるものか、それとも一応生物学を学んだからなのか、ちょっと分からないけれど。

 学校の科目で理科が好きだった中学生の頃、「昭和天皇は生物学者でもあるんだよ」と聞いてとてもうれしくなったおもいでがある。大学生の頃は、大学の臨海実験所をご覧になっている昭和天皇の写真をみて、なんだかつながりがある気がした(気がしただけだ)。

 和歌山で働いている頃、当時の職場の方の計らいで昭和天皇ゆかりの品々を拝見する機会を得た。その中に、大学の卒論以来扱っていた植物の標本があって驚いた。その植物を新種記載するために研究していたのに、それよりはるか以前にお気づきになり標本として残されていたことに鳥肌の立つような興奮を覚えた。

 ただ、昭和天皇がなぜ生物学を研究するのか、はあまり深く考えたことがなかった。この本は、そこをじっくりと考えさせてくれる。明治以降の大転換期、世界と渡り合わなければならない。国力も上げないといけないが、天皇と各国の国王などとのつながりも深めていかなければならない。そんな時代背景からの天皇が生物学を研究する意味も解説している。とても面白い。

 個人的には、昭和天皇の「古き良き時代の生物学(博物学)」が、とてもいいなぁと感じた。

[最近読んだ本]赤米の博物誌

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2012/12/14公開

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図書館でふと目についてよんでみた。

赤米というから、最近、店先で「古代米」などの名称で売られている赤や黒や紫や緑の米のことかと思ったら、違った。今売られている赤米は、古代米でもなんでもなく、新しく作られた品種であることの方が多いそうだ。

この本で取りあげられている赤米は、昔から日本で作られてきた赤米(糠層が赤い米)でいろいろなものが扱われている。神社などで神饌米として作られてきた赤米や、大唐米(だいとうまい、だいとうごめ)という日本の広い範囲で、そしてごく最近(明治あたり)まで作られていたインディカ米など。たくさんの史料を引用して、日本の赤米の栽培や利用、流通などについて説明している。

以前、米が不作でタイ米を輸入してうまいのまずいのと騒動があったが、それよりも遥か以前に大唐米が日本に持ち込まれ、広く栽培され流通したり、自家用として消費されていたことに驚いた。

また、本の後半には、赤米に限らずかつて栽培されていた、あるいは史料に登場して今は失われたと思われるさまざまな稲の品種が登場する。その多様性ときたら、面白い。

広く均質に広がる水田やそこに揺れる一面の金色の稲穂の風景は日本の原風景のように語られるが、そうではないのかもしれない。ほんのちょっと昔の水田は今よりカラフル、あるいは雑多な風景だったのかもしれない。と思った。

[最近読んだ本]タネが危ない

別ブログで上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2012/12/18公開

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前回に引き続き農業系の本だけど。
野口勲著「タネが危ない」

著者の野口勲という方は、主にネットを中心に作物の種子の販売をされている方(野口種苗研究所。オンラインショップもあります。)。
それも固定種とよばれる、古くから栽培されている栽培品種の種子を扱っている。
現在流通している作物の種子のほとんどは、そういった固定種ではなくF1種とよばれる、有用な形質をそなえた両親を掛け合わせて生産した種子。だから、野口さんのように固定種の種子を専門的に扱うお店は少ないのではなかろうか。

内容は、野口さんの半生に始まり、手塚治虫の虫プロ出版社で働いた経験を通して育んだと思われる生命観、タネ業界における固定種やF1種の話など。最後に付録として1.家庭菜園は固定種がいい、2.交配種(F1)と固定種の作り方、とある。

前回紹介した赤米の博物誌でもちらと触れたが、以前はたくさんの品種があったが、今は多くが失われているようだ。その品種の多くはその地で代々選抜を繰り返して作られてきた固定種であろう。自然のものであろうと栽培品種であろうと、生物の多様性が失われるのは残念に感じる。

最近は、そういった固定種が失われないようにジーンバンクに種子を保存するようになってきているようだ。今後の栽培新種の開発に、多様な固定種が持つさまざまな遺伝子が活用できるかもしれない、眠れる宝の山かもしれない、ということが系統保存する理由の大きなものの一つのようだ。

しかし、多様な固定種が、極端に言えばその遺伝子が保存されておれば良いのか?
固定種は、人々が毎年育てる中で、味や風味の良いもの、その地域に適応したものなどを地道に選抜し作り上げてきたものである。その固定種独特の栽培方法も考え出されたかもしれない。すると、固定種が栽培され続け利用され続けることは、いわば文化が継承されることかもしれない。

そう考えるたとき、本書の付録1.家庭菜園は固定種がいい、2.交配種(F1)と固定種の作り方、はいい内容だ、と思った。自家用に固定種を育て、伝統食を作り、あるいは新しい調理を楽しむ。地域の家庭家庭で、固定種を育て活用する文化を伝え、ついでに固定種の多様性と系統も維持する。なかなか、面白い社会ではないか!来年は庭で固定種栽培に挑戦してみよう。

[最近読んだ本]博物館が好きっ—学芸員が伝えたいこと

別ブログで上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2012/12/27公開

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職場は博物館ではないが、いつか博物館になるためにがんばっている。なので、状況が変わったり、戦略が変わることも多く、その度にそれまでとは違ったところに力点を置いた仕事を展開することも多い。

そんな数年間の中で、それまで自分が博物館の仕事の魅力と思っていたことが、実は大きな魅力の中の一部分でしか無かったのだな、と感じることが何度もあった。

そんなことを感じている時に見つけた本。四国ミュージアム研究会というところが編纂した本で、博物館の学芸員が自分の仕事を題材に、博物館の魅力、そして学芸員という仕事の魅力を伝えている。

四国ミュージアム研究会が、歴史民俗系の博物館や学芸員を中心しているようで、本の内容も歴史や民俗の博物館、あるいは資料館などとよばれる小さな博物館施設での話が中心。

私は自然系が専門なので、内容全体が目新しく感じ、楽しく読めた。全く知らなかったこと、「うんうん、そうだよね」と共感を持つところ、「そこを面白く感じるんだ」と感心するところ、様々だった。

美術館の取組の話なんかは、かなり興味深く読んだ。私は自分のことを「美術センス無し」と感じて美術館からは遠ざかっているけれど、ちょっと美術館に行ってみようか、という気になった。

あと、博物館の人って何してるの?という方にもおすすめの本かと思う。極端な例だと美術館の監視員を、学芸員と勘違いし「楽な仕事よね」という人もいるようなので(監視員もきついと思うけど・・・)。博物館の中の人が何してるのか、ぜひのぞいてみて下さい。

[最近読んだ本]ラブコメ

別ブログに上げていた本に関する記事を移行したものです。
オリジナルは2013/04/03公開

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 図書館をうろうろしていたら、園芸のコーナーにこの本が・・・
ラブコメ?・・・・・ラブ・コメディ?なぜここに?・・・と思わず手に取ってしまった。釣られた感満載だ。

 この「ラブコメ」という言葉、表紙にピンクでハートマークと※印が書かれていることからも推察できるが、ラブ(愛)+米(こめ)の意味。小説家原田マハさんと漫画家みづき水脈(みお)さんの稲作体験記、といった本。原田マハさんは、農業系の新聞で連載を持つことをきっかけに米づくりの学校に参加、みづき水脈さんはそれに賛同して一緒に参加。

 本の内容は、それぞれの視点からの顛末記といった感じで、前半は原田マハさんの文章、後半はみづき水脈さんのマンガという構成。どちらの作家さんも私は初めて知ったが、原田マハさんの文章は読みやすく気持ちがすっと伝わってくるなぁという印象。みづき水脈さんのマンガは線に飾り気がなく好感が持てた。内容では、文章で伝わりにくい説明などが、マンガで補完されている感じがあり、読みやすい本だった。

 米づくりの学校といっても、農業研修ではなく自然農法の教室。耕さず、肥料を施さず、農薬を使わない農業で、自然の営みに任せたもの。当然機械など使わず、作業は大変なものになっていて、「大変」という文字を何度も使って、自らが体験した農の大変さをしきりに伝えている。しかし、それ以上に自分が食べるものを育てる感動や、それを食べた時のうれしさが伝わってきて、「やってみたいな」という気持ちになってしまう。

なかなか、気持ちの良い本でした。

[最近読んだ本]救荒雑草

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2013/05/27公開

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「救荒植物」は聞いたことがあるが救荒「雑草」ってなんだろ?
あんまりこの分野のことは知らないので、とりあえず「救荒雑草」という言葉に??となった。

私の中の「救荒植物」の定義はこんな感じ。

日本の食の歴史の中で幾度となく訪れた、飢饉、災害。毎年のように育てていた作物が育たず、実をつけず、食べ物が不足してしまったとき、人々の命をつないできた植物があり、これらを救荒植物を呼ぶのだろう。この中には、飢饉を当て込んで(つまり不作の時の保険として)栽培された作物や、作物の生育の邪魔になる雑草だがもしもの時は利用されるもの、そして、山野に野生し季節の食べ物として利用する野草があると思う。

なんて考えてたら、救荒植物の利用の仕方や歴史なんかは民俗学的なテーマとしてはおもしろんじゃなかろうか、などと素人考えしてしまったので、つい手に取ってぱらぱらと読んでみた。実は、試せるものがあれば試してみようか、などとも考えつつ。


で、中身は、実用的なものではなく、どちらかといえば学術的かな?民俗学というか歴史学というか。

口にする植物は栽培された野菜か果物という現代において、「食の歴史を考える上でも救荒植物として史実に残った植物を後世に残したい思いでつづった植物誌」だそうで、内容は実用の手引きではなく、さまざまな文献に基づいた「こうこういう利用の記録がありますよ」という、内容になっている。決して、こうしたら食べられます、こういう効能があります、という本でない。(試そうというあてがはずれてしまった・・・)

それでも、「草種別の解説」に入ってみていくと、「え?これ食べるの?」とか「この植物は、季節になるとこんな器官をつくってたんか?」とか自分の無知っぷりを再確認できて、もとい、新しい知見に出会えたり、「そこまでしないと食えんのか」とか、「磨麺ってなによ?」とか、加工技術で知らないことも多く面白かった。

学術的とはいっても、本書の目的は「後世に残したい」。だから、救荒植物すべてを扱うのではなく、本を読んだ人が身近な植物で確認できるように、いわゆる雑草と呼ばれる草の中の救荒植物を扱っている。だから書名は「救荒雑草」。

救荒植物に興味を持てた一冊でした。

[最近読んだ本]チョウのはなし かしこくておしゃれでふしぎな、ちいさないのち

別ブログに上げていた本に関するコンテンツを移行したものです。
オリジナルは2013/05/27公開

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表紙の絵がきれいだったので見てみた。子供向けの知識絵本だった。

チョウの形態や生態を、「チョウは、がまんづよい」「チョウは、きれい」「チョウは、へんしんする」などの見出しで、絵と簡素な説明で紹介している。

見出しごとにさまざまなチョウが出てきて、オムニバス風なのがちょっと気になったが、最後の見出しは、最初の見出しと同じ「チョウは、がまんづよい」にもどり、あるチョウの一生をみて締めくくることができ、とてもすっきりと読み終えることができた。

また、本の最初にはさまざまなイモムシ・ケムシ(つまりチョウの幼虫)の美しい絵があり、読み終えてさいごにいくと成虫の絵がある。対比して並べてあるわけでは無いようなので、絵合わせするのもまた楽しいかも。

ただ、外国の作家さんの本なので、日本では見れないチョウが多い気がする。

[最近読んだ本]毒グモ騒動の真実

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オリジナルは2013/06/01公開

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 昨年度から、仕事で外来生物について扱うことが多かったので、興味を持って読んでみた。

 関西地方を中心に広がっているオーストラリア原産と言われる外来生物で、外来生物法でも特定外来生物に指定されている「セアカゴケグモ(注*リンクは環境省のpdfファイルです)」についての本だが、書名が示すように、セアカゴケグモの生物学的な本ではなく、セアカゴケグモの侵入の確認から始まった人間側の「騒動」について示してある。「おわりに」にもあるが、騒動の真実・事実を記録し、検証し、さらには次に同様の問題に突き当たった時に対策を講じることができるように、という目的で編まれた本である。

 個人的には、本の前半にある、セアカゴケグモの発見から、確認、そして発表までのいきさつについての部分を興味深く読ませてもらった。博物館や友の会、民間の団体、学会などが互いに協力・調査し、人々により正しい情報を伝え、人々がより適切な対応をできるよう努力している様子が印象に残った。

 報道が必ずしもこちらの意図通りに情報を流さないことの内情のようなものにも触れており、これからの情報の受け取りや発信にさいする心構えになるな、とも感じた。

 報道の問題も関係しているが、セアカゴケグモがどれほどの毒グモか、ということの説明に多くのページが割かれている。一読すると、テレビや新聞が伝える毒グモの評価が如何に危ういものか、正しい知識を持ち自分で確認・検証することが如何に大事か考えさせられてしまう。

 もちろん、セアカゴケグモの生物学的な情報や侵入の状況、広がり方などにも触れており、私がいる熊本県もそのうち入ってくるんじゃなかろうか、という印象を受けた。また、「外来生物としてのゴケグモとのつき合い方」という章がある。この章はゴケグモという外来生物にどう向き合っていけばよいか、というだけではなく、外来生物全般と私たちがどうつき合っていくかを考える良い指針となるのではないだろうか。


【最近読んだ本】 ダンゴムシの本 まるまる一冊だんごむしガイド〜探し方、飼い方、生態まで

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オリジナルは2014/04/30公開

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【最近読んだ本】「ダンゴムシの本 まるまる一冊だんごむしガイド〜探し方、飼い方、生態まで」奥山風太郎、みのじ



 先日、熊本市内に新しくできた図書館に行ってきた。で、当たり前だが生物系の書架をつらつら・・・

 背表紙に「ダンゴムシの本」。お〜、最近三男も生き物に興味持つようになったし、ちょっと見とくか、と取り出したらすてきな表紙。これはなかなかいい。色とりどりのダンゴムシ、しかも丸まってて正面を向いていて、かわいい。

 いろんな色があるんだなぁ、と感心して中をのぞくと、いろんな種類のダンゴムシがある!!こんなに種類があるのか!さらにページをめくると、様々なダンゴムシ似の生き物が!!

 中身は図鑑。伸びてる時と丸まっている時のそれぞれで、様々な角度の精細な写真が揃えてある。ページのすみには実物大の写真も。種内での色の変化がある時には、いろんな色の個体を集めたページも用意してある。

 また、各ページには、大きくて分かりやすいアイコンがある。いる場所、生育地での量、丸まりやすさ、分布、そしてすばしっこさがとても分かりやすいアイコンが作られている。

 本の後半には、飼育法や捕まえ方が載っている。これもなかなか役に立つ。

 これは買いだ!買おう!

 この本の著者の一人、「みのじ」さんは、いつの間にかtwitterでフォローしてた。昔は、本の著者なんて本当に「本の中の人」だったけど、最近はネットを介せば本の著者の言葉をリアルタイムで見れる。不思議でありがたい世の中だなぁ。

 

【最近読んだ本】冬虫夏草の謎 

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オリジナルは2014/04/30公開

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冬虫夏草の謎 盛口満著 丸善出版




 ここ数年、何となく冬虫夏草にであうことがあった。まあ、そこまで頻繁ではないけど。だから、気が向けば探していたけど、よくあることで探すと見つからない。簡単な参考書が欲しいな、なんておもってたら見つけた。

 盛口満さんはいくつもの生き物の関する本を出されている。体験談をベースにした生き物の話は、どれも読みやすい語り口で読者を引き込み、精巧なスケッチで目を奪う。人に生き物の話をする時は、こんな風に語りたいものだと、常々思う。

 私は、もともと菌類は専門ではない上、虫に取り付く菌なんて、ほとんど知識がない(それで野外で探そうとしてたんだから、おかしな話でだ)。それが、この本を読んでみて、いや、良かった。冬虫夏草の基本的なところ、分類や生態、生活史など基本の基本のところが、とても分かりやすく書かれている。本や図鑑で何となく理解していたことが、「は、そうか」と腑に落ちる部分が結構あった。

 今年は冬虫夏草探しか、というほど時間が取れればいいが・・・

【最近読んだ本】シダの扉

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オリジナルは2014/05/05公開

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シダの扉―めくるめく葉めくりの世界 盛口満著 八坂書房
 

   最近少し時間が取れるようになったので、本を読むことが以前よりはできるようになった。どうせならもう少し野外に出て生き物を観察できる時間が取れるようになるといいんだけどねぇ。

 さて、今回は盛口満さんの「シダの扉ーめくるめく葉めくりの世界」。はぁ、盛口さんの本は骨関係から読み始めたので、植物の本とは少し意外だった。でも、内容を見ると、元々(大学時代)は植物を扱っていらした様子。副題の「めくるめく…」というのは、シダを研究する人がシダを採集する時に行う、葉の裏に胞子嚢がついているかを確認する仕草から来ている模様。この副題を見て、「あぁ、あの仕草か」と思いついた人は、なかなかの「シダ屋」さん。

 今回も巻頭は、盛口さんのスケッチが満載。ここまでかけるようになると楽しいだろうなぁ。

 これまでの本の内容は、大体テーマの生き物そのものを扱っている、という印象だったが、今回はシダを通して見えてくる人間の生活や文化について多く述べられている。いわゆる民俗学の分野に入り込んだ内容になっている。

 著者が沖縄の大学の先生になってからの経験がベースになった本で、当然大学の子供たちに教えるときのエピソードがたくさん入っている。生物に対して興味のない子たちに興味を持たせるキーワードの一つが「食べる」ということ。どんなに興味のないことでも、「食べる」こととなると興味を持ってくれる。そこから民俗学の分野へと発展していたようだ。

 もちろん本の内容はそれだけではないのだが、シダの利用なんてなかなか面白くて、楽しく読めた。

【最近読んだ本】博物学の時間:大自然に学ぶサイエンス

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2014/05/09のコンテンツ
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 博物学という語が書名に入っているので、博物学全体を扱った書かと思いきやちと違う。表紙には青い地に白い線の細かなスケッチがたくさんあるが、これはササラダニというダニの仲間のスケッチ。著者の青木淳一さんは、ササラダニというグループの分類学的な研究の第一人者で、日本内外の博物館や大学で研究を進めてきた方。表紙のスケッチは、研究の成果、「新種」として発表したササラダニのスケッチだそうだ。

 日本津々浦々でササダラニを採集し、分類し、地理的分布を解析し、といういわば博物学的な研究生活をとおして、「博物学の時間」を分かりやすく解説している。

 前段では博物学とは、中段ではご自身の研究史、後段では博物学を後世に伝えていくことが述べられている。

 ササラダニが好き、生き物が好き、という気持ちあふれる文章で書かれていて、博物学の魅力や大切さが描かれている。

【最近読んだ本】「鯛のタイ」大西彬

別ブログの本に関するコンテンツを移行したものです。

2017/07/06
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 最近、地元の図書館にちょくちょく通う。でも、本を借りにいくのではない。「リサイクル図書」として頒布されている図書をもらいに行っている。
 頂く際には、数量制限があったり、販売したらいかんという決まりがあったり、ちょっとした文書に署名しないといけないとかあって、ほんのちょっと面倒な感じはあるし、古めの書籍である。しかし、本を頂けるというのは何ともうれしい。なので、ついつい「リサイクル図書コーナー」を覗いてしまう。
 で、この本は、そんなリサイクル図書コーナーから頂いてきた一冊。
「鯛のタイ」とは魚の胸びれあたりにある肩甲骨と烏口骨のこと。マダイの鯛のタイは、マダイのような形をしていて、「鯛の中の鯛」として縁起物のように扱われたようである。
 この本は、この鯛のタイに魅せられた著者が集めた様々な魚の鯛のタイを紹介している。紹介といっても専門的なことはなく、それぞれの魚についての思いや思い出なども綴られており、魚と骨をテーマにしたエッセイ集とも呼べるかもしれない。
 とはいっても、取りあげている魚のほとんどについて、鯛のタイの写真(しかも口絵の鯛のタイの写真はカラー)と魚の姿のスケッチ風の絵が添えられており、どんな魚の話かよくわかり読みやすいし、知っている魚については親しみを持って読める。
 また、著者はお医者さんのようで、本の後の方には人と魚の肩辺りの骨格の話が少し載っていた。これは結構分かりやすくて良かった。
 
 さて、鯛のタイを自分でも取ってみたくなった。で、たまたま、マグロの鎌が魚屋さんに売ってあったので、買ってきてオーブンで焼いて、食べながら取り出してみた。あ、スケール入れとけば良かったんだけど、結構でかい。
 最初は綺麗だったんだけど、ほっといたら茶色くなってしまった。骨格標本を作る人たちが、仕切りに脱脂をしているようだが、こういった変色を防ぐためのようだ。うーん、取り出した時にちゃんとしとくと良かった・・・

本「すぐそこに、カヤネズミ」

別ブログの本の記事を手作業で移行しています

2017/07/31の記事
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 子ども向けの絵本読み聞かせをした。
 ちょっと凝ったものにしたのだが、そのためには予習が必要で選んだ本。



 子ども向けの本のようだったので、最初絵本かとおもっていたら、高学年向きのしっかりとした読み物だった。 著者は、文学部を出て一度就職し、野生動物を守る活動をしたくて理系の大学院に進学してカヤネズミの研究を始めたという異色の経歴を持つ研究者だった。 
 その経歴を反映してか、文体は柔らかく、分かりやすく、とても読みやすい。 小学生を対象にした読み物のためか、理系の内容でありながら縦書きになっている。 カヤネズミに出会った感動から始まり、分かりやすいカヤネズミの基本的な情報の解説があった後、著者の研究進捗に沿った野生動物の保護の話へと進んでいく。 生態学系の研究をほとんどしてこなかった身からすると、生き物の生活の姿(生態)を捉えるためのさまざまな研究上の工夫が、新鮮で面白かった。






本「日本人と植物」

別ブログの本の記事を手作業で移行しています

2017/09/24の記事
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「日本人と植物」前川文夫 岩波新書

 相当昔の本だし、amazonのリンクを貼ったところで、そこから購入できるんか?という疑問はあるが、一応貼っておくと本の画像は出るし楽だな、という事で貼っておく。



 以前、野菜のクワイ(慈姑)をカヤツリグサ科のクログワイの塊茎と伝えてしまい、「今、クワイと呼ばれている野菜は、オモダカ科のクワイの塊茎ですよ」と訂正を入れたところ、執拗に「嘘を教えたのか、間違いを教えたのか」と言われたことがある。自分の記憶では、嘘も間違いも教えた気はないのだが、実際に、現在において野菜として流通しているのはオモダカ科のクワイだし、その時手元にはカヤツリグサ科のクログワイの塊茎をクワイと呼んだという文献もなかったので、説明に四苦八苦した。
 最近手にとったこの本に、クワイの名称やその正体の植物についての記述があり、上記のあまりうれしくない出来事を思い出すことになった。

 この本、題名からは、植物学と民俗学との学際的な、ちょっと昔〜今の植物の利活用をテーマにしたものかと思っていたが、少し読んでみるとちょっと違った。植物の名前に焦点をあて、その語源をさぐりながら、日本人と植物の関わりをひもといていくような内容のようだ。「ようだ」というのは、まだ呼んでる途中、というか「クワイ」に関わるところしか読んでないから。

 本の内容をばらしてしまうの良くないが、自己弁護のために少しだけ。野菜のクワイはそもそもはカヤツリグサ科のクログワイの事だったと言えるようだ。その論立ては本を見てもらうとして、どこに書いてあるかというと「ヒガンバナの執念」という章。で、どこで手に入れるのよ、となると・・・岩波書店のHPでは検索してもヒットしないし(絶版?)、amazonのは中古品のようだし。まあ、図書館で借りるのが順当か。あとは古本屋(日本人と植物〜の在庫検索結果|日本の古本屋)か。

 著者の前川文夫は、日本の植物学者で結構いろんな本を出している。植物学を学んだ人なら、大抵はこの人の本を読んだことがあるのではないだろうか。名前でamazonを検索すると「植物のきた道」、「植物の名前の話」、「日本固有の植物」、「日本の植物区系」、「植物の形と進化」など、持っているor読んだ事あるという本がわらわら出てくる。この人の文章は、特に一般向けの書籍の場合、柔らかく結構読みやすい気がする。

本「森を食べる植物」

別のブログから図書の話題だけこちらに移そうと思ったけど、bloggerってコンテンツごとのエクスポートって無理なのか?

とりあえず1つずつコピペしてみるか・・・

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森を食べる植物――腐生植物の知られざる世界




 ここ数年、腐生植物に出会う機会が何度かあった。マヤランタシロラン、シロシャクジョウ、ホンゴウソウ・・・・・そんなこともあり、少し詳しくなっておきたいなぁという気持ちになっていた折、書店を訪れたらこのような本が!!!さっそく購入した。
 帯の「略奪するから、美しい」というフレーズは、個人的にはあまり好きではないのだが、インパクトはかなりあると感じた。こういう人を引きつける一言を紡ぎ出せるのも、才能と努力と経験と閃きとが必要なんだろうなぁなどと思いつつ、本を開いた。
 著者は東京大学大学院の教授で、専門は発生遺伝学といいながらも、いくつもの腐生植物を新種記載している先生。そんな肩書きを見ると、難しく書いてあるのかと少し身構えてしまうかも知れないが、心配無用。腐生植物の写真は全て美しいカラー写真で、ついつい本をめくってしまうし、腐生植物の魅力を伝えるための本なので、やや専門的なことでも分かりやすく書かれている。
 腐生植物とは、林床等の土壌中の菌類に寄生して生活する植物の総称。生活の仕方が一般的な緑色の植物とはずいぶん違う。そのためか、野外の観察会等で腐生植物についてお話しするとき、ついついむつかしい言葉を交えてしまうなど、失敗してしまう。しかし、この本での解説は結構分かりやすく感じたので、ぜひ今後の参考にさせて頂こう。

 本は大きく4部構成。前2つは、腐生植物基礎講座的な内容で、腐生植物とはどのような生き物か、どんな生き物と関わりながら生活しているか、などが綴られている。3部目は、著者が実際に経験した調査・研究のいきさつの紹介していて、腐生植物の魅力や不思議、腐生植物との出会いの感動などが伝わってくる。
 4部目はなんと「腐生植物の探し方」。腐生植物に出会うためのポイントがまとめられている。そして付録として「腐生植物小図鑑」と題して、代表的な腐生植物を含む科を、すてきな写真とともに解説している。

 最後まで読むと、もう野外に探しに出かけたくなっちゃいます。 

2019年9月20日金曜日

読み聞かせ「たねのはなし」

 先日アップした読み聞かせの話題と時間的にはこちらが先。

 昨年度末、小学校での読み聞かせ会の担当だった。やはり、何やら持ち込んで絵本とセットで見せる「科学絵本読み聞かせ」にした。

 2月頃だったので選ぶテーマに困ったが、冬枯れの季節ということで植物の種子や果実にテーマを決めて選んだのがこちら。


書名:たねのはなし―かしこくておしゃれでふしぎな、ちいさないのち
著者:ダイアナ アストン(著)、シルビア ロング(イラスト)、千葉 茂樹(翻訳)
出版社:ほるぷ出版
出版年:2008年

 ものすごく綺麗な絵で構成されているのが選んだ理由の一つ。たくさんの植物のたねをいろんな特徴ごとにまとめて紹介している。種子や果実の役割を、うまく表現していて良いと思う。

 持ち時間は15分。対象は小学2年生。生活の授業で植物の栽培等も経験しているので、本の内容も分かりやすかったのか、結構すんなりと読み聞かせを聞き、内容にも反応してくれた。読むのに要した時間は10分弱。このあと、いろんなタネを見せるのには良い時間配分だった。

 この時用意した資料はこんなもの。

 翼のあるタネ。この他に綿毛のあるタネを集めたものもあったが、写真撮り忘れた。

 ヤシの実。乾燥してて結構軽いが大きい。子供達は抱えて回ってた。

 エンタダマメ。中のタネも、別途持っていった。

 キバナツノゴマ。この凶悪さは男の子に人気だった。

 触るものが多かったため、子供達はかなりの興奮状態になってしまい、ちょっと収拾つけるのが大変になってしまった。

 まあ、喜んでくれたからいいか。


 今回取りあげた絵本の作者ダイアナ アストンさんは、こういった絵本をシリーズで書いている模様。「いしのはなし」と「甲虫のはなし」も読んだがどちらも良かった。過去のブログ記事を整理していたら、以前には「チョウのはなし」も読んだことあった。こちらも良い絵本でした。


  

2019年9月19日木曜日

絵本読み聞かせ「こちらムシムシ新聞社かたつむりはどこにいる?」

 先日、小学校のPTAの図書委員会による絵本読み聞かせ会の当番が回ってきたので、頑張ってきた。

 例によって、科学のテーマを扱った絵本の読み聞かせとそれに関する資料等を見せる「科学絵本読み聞かせ」の形でおこなった。これまでにも何度かやっているけど、成否の差があってなかなか難しい。

選んだ本はこれ。梅雨の時期だったので、カタツムリをテーマにしている物の中から選んだ。
題名:こちらムシムシ新聞社 カタツムリはどこにいる?
著者:三輪 一雄(著、イラスト)
発行:偕成社 2018年


 初心者が多いPTA等の読み聞かせでは、「発行年が古く、版が重ねられた本を選ぶと安心」というアドバイスを受ける。なるほどそうなのだが、なかなか良さそうだという自分の感覚を信じて、今回はあえて新しい本を選んだ。

 対象は小学3年生。朝の授業開始前の15分が持ち時間。話の内容は分かりやすく、絵もみやすく、この学年でもある程度理解できていた様子だった。ただ、ページ数が40ページほどあり、なかなかにきつかった。きつかったというのは、時間も、絵本を持つ手も、喉も・・・

 時間については、読むだけで約12分かかり、準備や退出の時間を考えるとかなりギリギリ。体力については、自分は手を横に伸ばして体から話して持っているので、後半は手が震えて突っ張ってきた。まあ、これは工夫と体力増強か。喉は・・・まあ、これも練習だよねぇ。

 読み聞かせの後は、資料を見せる。今回はこれ。
校区内で採れたカタツムリの貝殻や撮影した写真で組み上げた。自分の校区ということでまさに身近なカタツムリを見せたので、子供達はそれなりに楽しんでくれた模様。

 その一方で実はちょっと盛り上がりに欠けた。なぜかというと、この学年は、昨年度に読み聞かせをした際、大きなヤシの実などを持ち込んだ「触れるイベント」にしたため、今回は触れなくて肩すかしをくらい、「見るだけ〜?」という気持ちになってしまったようだった。
 絵本の分量があったので、資料を絞ったんだけど、それがあだになったみたい。それを覆す話術を磨くか、資料を考え直すか・・・

 難しいなぁ。

2019年9月18日水曜日

「両生類・爬虫類の世界」みてきたー

 仕事だ、子どもの習い事だ、夏休みの宿題だ、となんやかんや時間が取れずやきもきしていたけれど、ようやく時間を確保できて、会期終了二日前に行けましたよ。

北九州市立自然史・歴史博物館いのちのたび博物館の夏の企画展
両生類・爬虫類の世界

 自分もみたかったし、妻は両生類・爬虫類好きなので、行けてよかった。でかい看板いいなぁ。
 展示室内には「撮影OK SNS OK」の張り紙もあった(と思う。撮影し忘れてきた)ので写真を交えつつ紹介。ブログがSNSかとつっこまれると・・・


 毎度思うのだけど、ここの企画展をおこなう展示室がすごく広くて、良く埋めれるな、と思うのだけど、毎度ガッツリ資料で埋めてきて、感心せざるを得ない。


 この物量、すごい。自分じゃできない気がする(まあ、仕事ですることになったらなんとか埋めるだろうけど)。

 物もすごかったけど、うれしかったのはこれ。
最近、文化系の博物館にもちょくちょく行くようになったのだけど、そこでは何か流儀が違うのか、解説を読んでいると舌打ちをされたり、「さっさといけよ」と言われたりする。ひどいのになると、車椅子の人が後から踵に車椅子をぶつけてくる。文化系ってマナーが悪いのか?
 こういう配慮があると、同じ混雑でもずいぶんストレスが軽いと思うし、人それぞれの興味に合わせて見ることができるので、学習効果も高まるのではないだろうか。
 とは言え、展示がストーリー仕立てだとこんな配慮も不可能になるので、この展示では企画者の作戦勝ちという感じで、とても良かった。

 動物の資料といえば、剥製・液浸・骨格が主な物だろうが、予想してなかった物やぜひみたかった物等もあった。

 一つはこれ。
博物館の展示でよく使われているレプリカ(大きさ、形を厳密に複製したもの)だが、よく見ると「3Dプリント」と書いてある・・・ハイテクだ。すごいな。

 もう一つはこれ。
二重染色を施した透明標本。これも何年か前からはやり出した。動物の骨のうち、硬骨が赤色、軟骨が青色に染まっている。

 ここで上げた写真はほんの一部で、膨大な資料が両生類・爬虫類の各グループごとにまとめられて展示ブロックが作られている感じ。

 あと、見所になっていたのは「生体展示」。やっぱり動く動物というのは牽引力がある。多くの人が集ってみていた。

 ただ、個人的には牽引力ありすぎかなぁとも感じた。ところどころ生体の印象ばかりが記憶に残り、何についての展示だったのか覚えていないところがある。展示物から情報を引き出せていない状態だってことで、展示として成功なのか?と考えてしまう。生体展示の有効な活用ってむずかしいのかもしれん。考えてみよう。

 展示全体はすこぶる満足、あえて言えば開館同時に入ってもっとゆっくりみたかったというのは、こっちの事情。渋々連れられてきた子供達も、自分達でいろいろ見て回っていたようで、楽しかった様子。

 さて、企画展を見終わり、次は常設展!と思ったら、子供達がばてた。せっかくセット券を買ったのでちょっとだけでも、と中に入ったら、これが良かった。展示室脇の小部屋は時たま展示を変えているのか、見たことない展示があった。

 シーラカンスの展示!!
シーラカンスだよ!いや、興奮したわ。


おわり。次はどんな企画展かなぁ。

2019年4月15日月曜日

吉野ヶ里歴史公園へ行ってきた。

 吉野ヶ里歴史公園へ行ってきた。面白いと聞いて。目的は一応、子どもたちの体験教室への参加。

  でかい。何じゃこりゃ。国営だからか?当初は歩いて移動してて大変に疲れていたのだけれども、実は無料のバスが園内をめぐっており、後半はそれが非常に便利だった。ありがたい。

入口の掲示板には、園内で咲いている植物の紹介。ええな。植栽している花だけでなく、園内いたるところに生える野生の草花も書いてあり、とても良い。

体験をおこなう「弥生くらし館」内には、集落の復元模型があった。

園内にも、集落が復元されている。これらは中に入ることもできて、弥生時代を体験している気分になり、とても楽しかった。竪穴式住居の横には外来植物のマツバウンランなどが咲いており、「そっかぁ、これは弥生時代には日本列島に侵入してたんだぁ・・・って運な訳あるかい」と一人ボケ一人つっこみしながら歩いた。
 あと、ところどころ人形を配置して生活の様子を再現している家もあり、人形が苦手な人間としてはちょっと・・・ちなみにこれは南の集落で、いわゆる一般人が住んでいた場所だそうな。

北の集落の櫓の上からの長め。ここはちょっと階級の高い人々が住んでいたところらしい。

王が住んでいた区画。ここで政を執り行ったり、占い的なことをしていたらしい。

 さて、肝心の体験学習だけれども。土日であったため、「土日限定プログラム」というものも同時に開催されており、たくさんのメニューが並ぶことになっていた。
 吉野ヶ里歴史博物館の体験メニューについては以下をご覧下さい。
 公園案内:体験プログラム|吉野ヶ里歴史公園

 作ったのはこちら
 ●「親魏倭王」印製作

●鏡製作


 どれも楽しかったのだけれども、スタッフはどうもボランティアさんみたいで、当たり外れがあるというか・・・子供の体験を大切にしてくれる方が担当になったときは良いんだけど、うまく時間通りに運営することに重きを置いている人にあたると、肝心なところをスタッフがしてしまうとかあって、親としてはびみょ〜。

 時間がなくてできなかった体験もあるのでまた行くことになりそう。

 たいへん楽しかった。

2019年3月30日土曜日

スコーンのつくったの記

 時々?よく?スコーンを作る。
 お店で売られている菓子パンやスコーンでは、味が濃すぎてどーにも・・・という時があり、そんなときはシンプルなレシピを探して自分でつくることになる。

 最近、気に入っているレシピはこちら
超時短スコーン焼けました!~所要時間16分レシピです|科学者ママnickyオフィシャルブログ「科学者ママのお料理ノート」Powered by Ameba

 つくりやすいし、時間もかからないし、とてもやりやすいレシピ。

 最近つくったのをざっと

  (たぶん)レシピにほぼ忠実につくった。

頂き物の健康食品のアマニシードがあったので、生地の表面に貼り付けて焼いてみた。焼き上がったらぱらぱらとはずれた。生地にしっかりと貼付けるか、生地に練り込むかしたほうが良さそう。

なんか一切れが大きすぎる気がしたので格子状に縦横4分割の16分割にしてみた。・・・小さすぎた。

もう少し大きくということで、縦横それぞれ3分割の9分割にしてみた。前は縦横斜めの8分割だったのでそこまでの違いはない気がするが、食べて見ると良いサイズ。ただ形が三角形でないのが・・・

とはいいつつ気に入ったのか、また9分割している。

柚子でマーマレードをつくったので、マーマレードの試食用にスコーンをこさえた。下に敷くクッキングペーパーがもったいなくなったのか、小さく一個分ずつになっている。スコーンにジャムは良い組み合わせですな。

 




釣魚料理

 feedburnerを設定したので試しも兼ねて更新。昨年秋のことだけども。
 釣りに行ってまあまあ釣れたので、お料理。

  釣果は、セイゴ(スズキのちいさいやつ)、メナダ(ボラっぽいやつ)、マハゼ

  セイゴはホイル焼き。どうやってつくったんだろう?忘れてる。今年、つくれるか?

メナダは味噌煮。ボラと違って臭みがないと聞いていたけど、本当に臭みがなくおいしかった。

  マハゼはちょっと時間をかけて甘露煮に。しかし時間をかけた割には、骨が硬く、食べにくかった。甘露煮にするには大き過ぎたのかな?

 後日、ふたたび釣りに行って釣れたマハゼは天ぷらにした。定番の料理はやはりおいしい。